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Googleの優先ソースボタン設置
Googleが2026年8月20日、読者がそのサイトを「優先ソース」として登録できるボタンを、サイト側に設置できる形で公開しました。公式ドキュメントによると、必要なのはHTMLを2行足すことだけで、ボタンの文言は自動で翻訳され、押した読者は読んでいた位置へ戻ります。対象になるのはドメイン単位とサブドメイン単位のサイトで、サブディレクトリは対象外と明記されています。
Summary
この記事の要点
新機能の紹介ではなく、自社サイトに置くかどうかをどう判断するかに絞って整理します。要点は3つです。
設置は2行。ただし効くのは「押した読者」だけ
スクリプトを1行、ボタンの置き場所に空のdivを1行足すだけで設置できます。一方で、優先ソースは登録した本人の検索結果に働く仕組みです。押していない人の検索結果は変わらないため、サイト全体の順位を動かす施策ではありません。
対象はドメインとサブドメインのみ。サブディレクトリは対象外
公式ドキュメントに明記されています。自社ドメインで記事を出しているかどうかが、そのまま適用可否になります。外部サービスのサブディレクトリに記事を置いている場合、読者が登録できるのは自社ではなくそのサービスです。
Top Storiesだけでなく、AI ModeとAI Overviewsも対象に含まれる
ここがニュースメディア以外の事業者にも関係する理由です。Top Storiesはニュース性の高い記事が中心の面ですが、AI検索側にも及ぶと公式に記載されているため、記事を継続的に出している事業者には検討の余地があります。
Basics
前提:優先ソースは「読者が指名する」仕組みです
優先ソースは、検索する人が自分でサイトを選んで登録する機能です。サイト側の努力で順位を上げる従来の施策とは、効き方の起点が違います。すでにご存じの方はこの節を飛ばして構いません。
公式ドキュメントでの名称は「Preferred sources」です。本記事では読みやすさのため「優先ソース」と表記します。仕組みとしては、利用者がGoogle検索側の設定(ソース設定ツール)で好きな媒体を選んでおくと、その媒体の記事が自分の検索結果で見つけやすくなる、というものです。選ぶのは検索する側であって、サイト側ではありません。
今回の発表は、この「選ぶ」操作を、読者がいまいるページの上で完結できるようにしたものです。Googleの検索設定画面まで移動してもらう必要がなくなり、押したあとは読んでいた位置へ戻ります。従来のSEOと並べると、位置づけの違いがはっきりします。
| 施策 | 誰の行動で決まるか | 効く範囲 |
|---|---|---|
| 従来のSEO(内部・外部施策) | Googleの評価 | その検索語で調べる全員 |
| AIO・LLMO・GEO(AI検索での引用対策) | AIがどの情報源を引くか | その質問をした全員 |
| 優先ソース | 読者本人が登録したかどうか | 登録した本人のみ |
3つ目だけ、効く相手が「すでに自社を知っている読者」に限られます。つまりこれは新規流入を増やす施策ではなく、一度読んでくれた人にもう一度届く確率を上げる施策です。AI検索側の考え方はAIOとはとGEOとはで、検索結果での見え方の測り方はAI検索の効果測定で整理しています。
Announcement
公式発表の要点
Googleは2026年8月20日、検索・Discover・ニュースの表示を利用者側で調整できるようにする更新を公式ブログで発表しました(出典: Google公式ブログ「Personalize the content you see on Search, Discover, and News」)。設置方法と条件はGoogle検索セントラルの公式ドキュメントに記載されています。
| 項目 | 公式に記載されている内容 |
|---|---|
| 発表日・発表者 | 2026年8月20日、Mrinalini Loew氏(General Manager, Google Search Ecosystem) |
| ボタンの動作 | 読者が押すと、そのサイトをGoogle上の優先ソースとして追加し、読んでいた位置へ即座に戻す |
| 設置方法 | HTMLを2行追加する。<head>内にnews.google.com/swg/js/v1/publisher.jsを読み込むスクリプト、本文側にgoogle-add-preferred-source-btn属性を付けた空のdiv |
| ボタンの文言 | 自動的に翻訳されると記載 |
| 対象の単位 | ドメイン単位とサブドメイン単位のみ。https://www.example.com/blogのようなサブディレクトリは対象外 |
| 表示される面(Top Stories) | Google検索が利用できるすべての言語で、グローバルに利用可能と記載 |
| 表示される面(AI検索) | AI ModeとAI Overviewsが利用できるすべての言語・地域で表示され得ると記載 |
| これまでの利用状況 | すでに60万を超えるユニークなソースが選択されていると記載 |
| Discover側の更新 | 今後数日以内にGoogleアプリで、見たい内容を自由記述で指定してフィードを調整できるようにする |
| Googleニュース側の更新 | Android版Googleニュースアプリで、音声ニュースブリーフィングをトピック別に調整できる |
日本での提供可否を名指しした記載は、公式ブログ・公式ドキュメントのいずれにもありません。ただしTop Stories向けについては「Google検索が利用できるすべての言語」と明記されているため、この記述に沿えば日本語も対象に含まれます。本記事の執筆時点(2026年8月21日)で確認できるのは、ここまでです。
Analysis
セルフプラスの見解 — 設置の可否より先に、記事の置き場所を確認してください
ここからは公式発表を踏まえたセルフプラスの分析で、事実の要約とは分けて記載します。この発表は「2行で置けるので、とりあえず全ページに置く」という読み方をされやすい更新です。ただ、実際に効く事業者と効かない事業者は、設置作業に入る前の時点で分かれています。
1. まず「自社のドメインで記事を出しているか」を確認する
公式ドキュメントの条件は2つあります。1つは、自社サイトがソース設定ツールに表示されること。もう1つは、ドメイン単位とサブドメイン単位のみを対象とし、サブディレクトリは対象外であることです。これは技術的な細則に見えますが、実務上はもっとも大きな分かれ目になります。記事の置き場所ごとに整理すると、次のようになります。
| 記事の置き場所 | 優先ソースの対象 | 読者が登録することになる先 |
|---|---|---|
| 自社ドメインのサブディレクトリ(例: example.com/blog/) | 対象になる(ソース設定ツールに表示される場合) | example.com(サイト全体) |
| 自社のサブドメイン(例: blog.example.com) | 対象になる(ソース設定ツールに表示される場合) | blog.example.com |
| 外部ブログサービスのサブディレクトリ(例: 外部サービス.com/自社名/) | 自社としては対象にならない | そのサービスのドメイン(自社は登録できない) |
1行目と3行目の違いに注意してください。自社ドメインの/blog/配下に記事を置いている場合、サブディレクトリ自体は登録できませんが、ドメイン全体が登録の対象になるため、ボタンは機能します。一方、外部サービスのサブディレクトリに記事を置いている場合、読者が登録できるのは自社ではなく、そのサービスのドメインになります。オウンドメディアを外部サービスだけで運用している事業者にとっては、この更新は事実上、対象外です。外部サービスと自社サイトの使い分けはnote運用代行でも扱っている論点です。
2. EC事業者にとっての当たり所は、商品ページではなく記事側にある
優先ソースが働く面のうち、Top Storiesはニュース性の高い記事が中心の枠です。商品ページやカテゴリページがここに出ることは、通常はありません。したがって、商品ページだけで構成されたECサイトにボタンを置いても、押した読者に返るものはほとんどありません。
意味が出るのは、公式ドキュメントに記載されているもう一方の面、AI ModeとAI Overviewsです。自社ドメインで、使い方・選び方・成分・サイズの合わせ方といった記事を継続的に出している事業者であれば、その読者が優先ソースとして自社を登録した状態は、AI検索での接触機会に関わってきます。逆にいえば、登録したくなる記事が無い状態でボタンだけ置いても、押す理由が生まれません。この施策の実体は、設置作業ではなくコンテンツの継続性のほうにあります。
3. 置く場所は「読み終わった位置」に限る
ボタンの置き場所は自社で自由に決められますが、押される確率はその置き場所で決まります。記事を読み終わって満足した瞬間が、読者が「またこのサイトを読みたい」と考える唯一のタイミングだからです。
| 置き方 | 結果として起きやすいこと |
|---|---|
| 記事の末尾(本文の直後、関連記事の前) | 読み切った読者にだけ提示される。押す動機と提示のタイミングが合う |
| 記事の冒頭やヘッダー固定 | まだ内容を評価していない段階で提示され、無視されやすい |
| 全ページに一律で設置(商品ページ・カートを含む) | 購入導線に無関係な要素が増える。スクリプトの読み込みも全ページに及ぶ |
ECサイトの場合、購入フローの途中に外部サービスへ遷移し得る要素を足すことは、それ自体がCVRの検討事項になります。設置範囲は記事ページに限定し、商品ページとカート・決済まわりには置かない判断を推奨します。サイト全体の導線設計はShopifyサイトAIグロース支援で扱っています。
4. 効果は順位では測れません。測るなら再訪と指名です
優先ソースは登録した読者本人の検索結果に働くため、順位計測ツールの数値には現れません。設置したあとに検索順位が動かなくても、それは失敗を意味しません。見るべき指標が別にあるということです。
現実的に追えるのは、Google Search Consoleでの指名検索クエリの推移と、再訪問した読者の割合です。ただしいずれも優先ソースの効果だけを切り出せる数値ではありません。他の施策や季節要因が同時に動くためです。設置の可否は、効果測定の精度ではなく「設置コストが2行で済むか」「押す理由のある記事があるか」で判断するほうが実態に合っています。測定側の考え方はAI検索の効果測定に、AI検索全体への取り組み方はAIO・LLMO・GEO対策にまとめています。
2行で済む反面、確認しておくべき点が3つあります
1つ目は、外部スクリプトを1本追加することです。公式の指定はnews.google.comから読み込む形のため、表示速度と、Cookieや同意管理の方針に照らして問題がないかを事前に確認する必要があります。2つ目は、押した読者にしか効かない点です。押していない人の検索結果は変わらないため、AI検索や検索結果での表示・引用を保証するものではありません。3つ目は、日本での提供可否を名指しした記載が公式に無い点です。「Google検索が利用できるすべての言語」という記述に沿えば対象に含まれますが、実際の表示は自社の環境で確認するのが確実です。
Action
明日から何をすべきか
設置作業そのものは短時間で終わります。順番を間違えないことのほうが重要です。なお公式ドキュメントは、これらの方法は例示であり、優先ソースとして選ばれるために必須ではないと明記しています。
ソース設定ツールに自社サイトが表示されるかを確認する
公式ドキュメントは、この設置方法を使える前提として「自社サイトがソース設定ツールに表示されること」を挙げています。
https://www.google.com/preferences/sourceの検索窓に自社ドメインを入力し、候補に表示されるかを確認してください。あわせて、自社の記事がどのドメインに載っているかも確認します。外部サービスのサブディレクトリで運用している場合は対象外のため、ここで判断が終わります。複数の場所に記事が分散している事業者は、どこを主たる置き場にするかを先に決めてください。この確認をせずに設置手順から入ると、対象外のサイトに作業時間を使うことになります。押す理由のある記事があるかを見直す
直近3か月に公開した記事を並べ、「この続きを読みたい」と思われる内容が継続的にあるかを確認します。無ければ、ボタンより先に記事の方針を決めるほうが順番として正しくなります。商品紹介だけが並んでいる状態では、読者が自社を優先ソースに指名する動機が生まれません。
設置範囲を記事ページだけに限定して置く
記事本文の直後に設置し、商品ページ・カート・決済まわりには置きません。設置後は、実機で表示崩れがないこと、ページの表示速度に影響が出ていないことを確認します。あわせて、外部スクリプトの追加が自社の同意管理の方針に反しないかを社内で確認してください。
Googleの検索面の動きはAI Modeの外部アプリ連携の記事とSearch Consoleのプラットフォームプロパティの記事にまとめています。AI経由の購買まで含めた全体像はAIコマースとはで整理しています。
FAQ
この発表に関するよくあるご質問
優先ソースに登録されると検索順位は上がりますか。
登録した読者の検索結果で、そのサイトが見つけやすくなる仕組みです。サイト全体の順位が上がるものではありません。ボタンを押していない人の検索結果は変わらないため、順位を動かす施策ではなく、既存の読者との接点を太くする施策として扱うのが適切です。
ECサイトでも設置する意味はありますか。
商品ページだけで構成されたサイトでは効果は限定的です。優先ソースが働く面のうちTop Storiesは、ニュース性の高い記事が対象だからです。一方でAI ModeとAI Overviewsも対象に含まれるため、自社ドメインで記事を継続的に出している場合は検討する価値があります。
外部のブログサービスで記事を書いている場合はどうなりますか。
公式ドキュメントには、対象はドメイン単位とサブドメイン単位のみで、サブディレクトリは対象外と明記されています。外部サービスのサブディレクトリで記事を公開している場合、読者が優先ソースとして登録できるのは自社のサイトではなく、そのサービス側になります。
