KNOWLEDGE — AI SEARCH MEASUREMENT

AI検索の効果測定

AI検索の対策を始めたものの、成果をどう測ればよいか判断できないというご相談をよく受けます。Shopifyやecforceで自社ECを運営し、AI検索の成果を社内で説明できずにいるEC担当者・経営者に向けた記事です。測る対象をクロール・引用・流入・指名検索・成果の5段に分け、各段で今日から使えるツールと2026年7月時点では測れないことを示します。

Definition

AI検索の効果測定とは — 5段に分けて測る

AI検索の効果測定とは
AI検索の効果測定とは、生成AIの検索・回答機能が自社サイトをどう扱ったかと、その結果どれだけの訪問と成果が生まれたかを、段階に分けて把握することです。単一の指標では表せません。株式会社セルフプラスでは、クロール・引用・流入・指名検索・成果の5段に分けて測ることを標準にしています。段ごとに使うツールも、測れない範囲も違うためです。

検索エンジン向けの施策と違い、計測では「露出」と「クリック」のあいだにAIの回答という層が挟まります。この層を飛ばして流入数だけを見ると、露出が増えているのに評価できない状態が起こります。施策側の考え方は別ページで整理しています。生成AIの回答に引用されるための最適化はGEOとはを、AI検索全般での見え方の最適化はAIOとはをご覧ください。

AI検索の効果測定の5段モデル(クロール・引用・流入・指名検索・成果)を示すバナー
AI検索の5段計測モデル(セルフプラスによる整理・2026年7月時点)
段階測るもの主なツール2026年7月時点の限界
① クロールAIクローラーが読みに来た回数サーバーログ/Cloudflare AI Crawl ControlShopifyの通常のオンラインストアでは生ログを見られない
② 引用AIの回答に自社が載った回数Bing Webmaster Tools(引用数)/Search Consoleの生成AIパフォーマンスレポート(表示回数)Search Console側は提供先を順次拡大している段階。英国先行で、クリック数を含まない
③ 流入AIから実際に来た訪問GA4のAIアシスタント系チャネルGoogle AI OverviewsとAI Modeは分離できずOrganic Searchに合算される
④ 指名・直接AIを見て指名検索した人の動きSearch Console(指名クエリ)/GA4(Direct)因果の証明はできず推定にとどまる
⑤ 成果売上・問い合わせGA4のキーイベント/Shopify管理画面キーイベントが未設定だと全チャネルの成果がゼロで並ぶ

この記事は、その5段を1段ずつ測れる状態にすることを目的にしています。読み終えた時点で、自社の計測設計の抜けが分かる状態を目指します。

本記事でいう5指標は、上の表の①〜⑤に対応します。順に、クロール数、引用数と表示回数、セッション数、指名クエリの表示回数とクリック数、キーイベント数です。キーイベントとは、GA4で成果として数えると決めたイベントのことです。以前はコンバージョンと呼ばれていました。この5つは単位が違うため、合計して1つの数字にはできません。

記録先は5行×月次列のシート1枚で足ります。行は段階①〜⑤、列は取得月です。単位が違うので、合計行は作らないでください。作り方は次の節で示します。

なお、GA4のAIアシスタント系チャネルは、公式ヘルプの表記と実際に返る値が一致していません。セルフプラスが自社プロパティで確認した実測値を段階③に載せています。

本記事は計測に絞った実務ガイドです。AI検索に発見されるための施策手順はECサイトのGEO対策で工程順に解説しています。robots.txtの許可、構造化データ、商品データの整備が対象です。施策から入る場合はそちらを先にお読みください。

Why It Matters

流入数だけを見ても判断できない理由

AI検索の成果を流入数だけで判断すると、投資の是非を誤ります。引用されても流入するとは限らず、量と質を同じ数字で語れないためです。

1つ目の理由は、AIの回答に載ってもクリックが起きるとは限らないことです。Pew Research Centerが2025年7月22日に公表した分析があります。米国成人900人の実際のブラウジング記録を計測したもので、対象は2025年3月のGoogle検索68,879件です。AI要約が表示された検索で、通常の検索結果リンクがクリックされたのは全訪問の8%でした。AI要約が表示されなかった場合は15%です。クリックは約半分にとどまりました。ここでの8%は、表示回数を分母にしたCTRではありません。検索の実施回数を分母にした割合です。Pewは技術的な制約から、分析対象をGoogleに限定したとも明記しています。米国・Google限定・900人・1か月という条件つきの数値です(出典: Pew Research Center)。それでも方向は示しています。引用や露出が増えても、流入が同じだけ増えるとは限りません。

2つ目の理由は、量と質を同じ数字で語れないことです。Adobeが2025年3月17日に公表した数値では、2025年2月時点で生成AI経由のコンバージョンは他の流入より9%低いとされています。同じ記事に記載された2024年7月時点の値は43%低く、2024年7月から2025年2月までの7か月で差が34ポイント縮まりました。出典はいずれもAdobeで、米国小売サイトへの1兆回超の訪問の実測です。同じ記事は、行動面の数値も示しています。生成AI経由の訪問はエンゲージメントが8%高く、1訪問あたりの閲覧ページ数が12%多く、直帰率が23%低いという内容です。ただしAdobe自身が、生成AI経由の流入は有料検索やメールなど他のチャネルと比べてまだ小さいと留保しています。流入の量そのものは伸びています。Adobe Analyticsは2026年1月、米国小売サイトへの生成AI経由の流入が前年比693.4%増えたと発表しました。対象は2025年11月1日から12月31日、1兆訪問超の実測です(出典: Adobe)。この発表でもAdobeは、利用者の母数はまだ小さいと留保しています。量の伸びと質の評価は、分けて読んでください。

この数値はいずれも米国小売サイトのものです。セルフプラスが支援先のGA4で見ている範囲では、日本のECはAI検索経由の母数が数十セッション規模にとどまることが珍しくありません。母数が小さい段階でコンバージョン率を他チャネルと比べると、1〜2件の注文で数値が跳ねます。セルフプラスでは、AI経由セッションが月100を超えるまではコンバージョン率を比較対象にせず、セッション数と閲覧ページ数の推移だけを見る運用にしています。

3つ目の理由は、ツール側の仕様で流入の内訳をそもそも分けられないことです。Googleアナリティクス ヘルプの「Default channel group」に定義があります。AIアシスタントのチャネルは、GoogleのAI OverviewsとAI Modeを除外するという内容です(出典: Google アナリティクス ヘルプ)。これらはOrganic Searchに合算されます。GA4だけでは影響を分離できません。

ここまでの3つは、いずれもツールと数字の側の制約です。加えて、計測の考え方そのものを変えるべきだという指摘が、検索エンジン側から出ています。Microsoftは2025年11月20日のBing Webmaster Blogで、クリックや最終接点のコンバージョンだけを追うのではないとしています。表示回数、引用、クエリの絞り込み、回答への組み込みといったシグナルに分析を合わせるべきだという内容です(出典: Bing Webmaster Blog)。同じ記事にはCopilot経由の購買行動に関する数値も載っています。ただしMicrosoftの自社データで、母数・期間・地域は公表されていません。

明日やることは1つです。スプレッドシートを1枚作り、A列に段階①〜⑤、B列に指標名と取得元ツールを書きます。C列以降を取得月とし、C列に今日時点の値を入れてください。値が取れない段は空欄にせず「取得不可」と書きます。この1枚が基準値です。以降は毎月1日に1列ずつ右へ追記するだけで、増減が判断できます。AI検索がECのどこに影響するかの全体像はAIコマースとはで整理しています。

Stage 1

段階① クロールを測る — 誰が読みに来ているか

1段目は、AIのクローラーが自社サイトを読みに来ているかどうかです。読まれていなければ、回答に載ることも、そこからの流入も起こりません。

最初に押さえるのは、クローラーの正式名称と役割の違いです。同じ会社のクローラーでも、検索回答での表示に使うものとモデルの学習に使うものは別です。役割を混同したまま一括で拒否すると、送客の経路まで止めてしまいます。

主なAIクローラーの正式名称と役割(各社の公式ドキュメントより)
クローラー名公式に説明されている役割拒否した場合に起きること
OAI-SearchBot(OpenAI)ChatGPTの検索機能で、検索結果にサイトを表示するために使われるオプトアウトしたサイトはChatGPTの検索回答に表示されない。ナビゲーショナルリンクとしては表示されうる
GPTBot(OpenAI)生成AIの基盤モデルの学習に使われる可能性があるコンテンツを収集する学習目的の収集を拒否できる。検索回答での表示とは別の話になる
ChatGPT-User(OpenAI)ChatGPTおよびCustom GPTsでの特定のユーザー操作に使われるユーザー操作に伴う取得が止まる
PerplexityBot(Perplexity)Perplexityの検索結果でサイトを表示し、リンクするために設計されているPerplexityの検索結果での表示とリンクがされなくなる
Perplexity-User(Perplexity)Perplexity内でのユーザー操作を支えるユーザー起点のため、robots.txtには基本的に従わない

出典: OpenAI 開発者向けドキュメント「Bots」Perplexity 公式ドキュメント「Perplexity Crawlers」。PerplexityはPerplexityBotのIPレンジPerplexity-UserのIPレンジも公開しています。名前だけを騙るアクセスを除きたい場合は、この一覧と照合してください。

測り方は2通りです。自社サーバーを持つ環境では、アクセスログのユーザーエージェントを日次で集計します。ユーザーエージェントとは、アクセスしてきたプログラムが自分の名前を名乗る文字列のことです。CDNにCloudflareを使っている場合は、AI Crawl Controlが使えます。Cloudflareの開発者向けドキュメントには「Available on all plans」と記載があります。全プランで利用できるという意味です(出典: Cloudflare Docs)。

ただし無料プランには制限があります。無料プランでは、Metricsタブが直近24時間の指標のみを表示します。AIクローラーの識別も、ユーザーエージェント文字列に基づくとされています(出典: Cloudflare Docs)。参照元の分析機能は有料プラン向けと明記されています(出典: Cloudflare Docs)。無料プランで運用する場合は、24時間の枠を前提に、週次で手元へ書き出してください。

クロール数と送客数の関係を外部の基準と比べたい場合は、Cloudflare Radarが参考になります。Cloudflareは2025年7月1日のブログで、AIプラットフォームのクロール数と送客数の比率を公開しました。Crawl-to-Refer Ratioと呼ばれる指標です(出典: The Cloudflare Blog)。現在の値はCloudflare RadarのAI Insightsで確認できます。比率は時点によって大きく動きます。社内資料に載せるときは、取得日をあわせて記載してください。

許可と拒否の方針も、計測と同時に決めておきます。Cloudflareは2026年7月1日のブログで、AIボットを3つの用途に分類する仕組みを発表しました。無料プランを含む全顧客が対象です。Searchは、コンテンツを収集・インデックスして後から質問に答えるためのものとされています。Agentは、人に代わってリアルタイムに行動するものです。Trainingは、モデルの学習や微調整のためのものと説明されています。2026年9月15日以降、新たにCloudflareへ登録するドメインでは既定の扱いが変わります。広告を表示するページで、TrainingとAgentが既定でブロックされ、Searchは既定で許可されます。既存のドメインの設定が自動で変わるわけではありません(出典: The Cloudflare Blog)。「AIボットを全部ブロックする」という判断は、送客が期待できるSearchまで切ります。用途別に決めてください。

Shopifyの場合。通常のオンラインストアでは、この段階を自力では測れません。マーチャントが生アクセスログを参照する公式機能は、Shopifyの公式ドキュメント上に確認できないためです。Log drainsは、サーバーが記録したリクエストのログを外部の監視サービスへ流し込む機能です。この機能はShopify Plusプランのストアのみが利用でき、対象もHydrogenによるヘッドレス構成です(出典: Shopify.dev)。ヘッドレス構成とは、商品データや決済をShopifyに任せたまま、画面側を別の仕組みで作る方式です。Hydrogenは、そのためにShopifyが提供している開発フレームワークを指します。つまりShopify Plusであっても、Liquidテーマのオンラインストアを使っている限りは対象外です。CloudflareをDNSの前段に置いていればAI Crawl Controlで代替できます。置いていない場合は、段階②の引用数を実質的な最初の観測点として使ってください。

ecforceの場合。サーバーログの参照可否は、ecforceの公式ドキュメントでは確認できていません。契約構成によって異なる可能性があるため、SUPER STUDIOへ直接確認してください。確認が取れるまでは、Shopifyと同じくCloudflare AI Crawl Controlでの代替を前提に設計しておくと手戻りがありません。

Stage 2

段階② 引用を測る — 回答に載っているか

2段目は、AIの回答に自社が載ったかどうかです。2026年7月時点で日本のEC事業者が実データを見られるのは、主にBing Webmaster Toolsです。

Microsoftは2026年2月10日、Bing Webmaster ToolsにAI Performanceを公開プレビューとして追加しました。Microsoft Copilot、Bingの AI生成要約、一部のパートナー連携における自社コンテンツの現れ方を示す機能です。生成された回答で自社コンテンツがどれだけ引用されているかを、参照されたURL単位で確認できるとしています(出典: Bing Webmaster Blog)。指標は総引用数、1日あたりの平均ユニーク被引用ページ数、grounding queriesのサンプル、URL単位の引用数、時系列の推移です。grounding queriesとは、AIが回答を組み立てるときに裏側で参照した検索クエリのことです。

2026年6月16日には、Bing Webmaster ToolsのAI Visibility Insightsが拡張されました。Intents、Topics、Citation Share、Compareの4機能が対象です。グローバルでプレビュー提供され始めています(出典: Bing Search Blog)。Intentsは検索の意図、Topicsは引用された話題の分類を示します。Citation Shareは、あるgrounding queryの引用全体のうち、自社が占めた割合を示す指標です。Compareは、過去の期間を現在のレポートに重ねて、引用の増減を見るために使います。Microsoftは同じ記事で、Citation Shareが観察のための指標だと明記しています。ランキングシステムでも競合のスコアボードでもないという説明です。競合のドメイン名が出るわけでもありません。順位表として社内に配ると、解釈を誤ります。

日本のEC事業者にとって重要なのは、この機能がグローバル提供である点です。後述するSearch Console側の生成AIレポートが英国先行であるのに対し、Bing側は今日から見られる可能性があります。Bing Webmaster Toolsに自社サイトを登録していない場合は、まず登録して所有権を確認してください。日本国内向けのECサイトでも、Copilot経由の引用状況は確認できます。とくにShopifyの通常のオンラインストアでは段階①を自力で測れないため、この段階が実質的な最初の観測点になります。

Google側の状況は異なります。Googleは2026年6月3日、Search Consoleの生成AIパフォーマンスレポートを発表しました(出典: Google 検索セントラル ブログ)。対象はAI OverviewsとAI Modeで、指標は表示回数のみです。表示回数は、Google検索の生成AI機能で自社サイトへのリンクが表示された回数を指します。ディメンションはページ・国・デバイス・日付で、クエリはありません。同じサイトから2件の結果が生成AI機能に現れた場合、グラフの合計では1回の表示として数えられます。このレポートは別勘定ではなく、パフォーマンスレポートのウェブ検索タイプに含まれるデータの内訳です。Googleは、一部のサイト所有者へこのレポートを展開しているとしています。すべてのプロパティがアクセスできるわけではないとも記載しています(出典: Search Console ヘルプ)。

開始は英国からです(出典: Google 公式ブログ)。日本での提供時期は発表されていません。「使える前提」で計測設計を組まないでください。自社のSearch Consoleに当該レポートが出ているかを、まず自分の目で確認します。出ていなければ、通常のパフォーマンスレポートで代用します。同じGoogleの公式ブログでは、生成AI機能への露出をオプトアウトするSearch Console側のトグルも発表されています。オプトアウトすると、AI OverviewsとAI Modeからの流入も表示回数も失います。計測が難しいという理由でオフにすると、測る対象そのものが消えます。

Google Merchant Centerにも、AI performance insightsという枠があります。Analytics内のProductsにあるAI performanceタブで確認できるとされています。指標は自社のシェアオブボイス、競合の平均シェア、クエリの頻度、クエリのタイプです(出典: Merchant Center ヘルプ)。シェアオブボイスとは、対象となるクエリ全体のうち自社が露出した割合のことです。ただし現在は米国限定の限定パイロットです。同ヘルプは今後数か月でオーストラリア・カナダ・インド・ニュージーランドへ広げるとしており、日本への言及はありません。日本のEC事業者は現時点では使えません。将来使えるようになる可能性がある枠として、認識だけしておけば十分です。

この段階でもう1つ押さえるべきは、単位の違いです。Google側は表示回数、Bing側は引用数を数えています。定義が違うため、2つを足したり単純に比較したりはできません。レポートに並べる場合は列を分け、合計行を作らないでください。セルフプラスでは、この2つを別々の折れ線として並べ、増減の方向だけを見比べる形にしています。確認した引用数と表示回数は、その場で基準値シートの段階②の行に、当月の列で書き込んでください。

Stage 3

段階③ 流入を測る — GA4の設定手順

3段目のAI経由の流入は、GA4の既定のチャネルグループで確認できます。ただしチャネル名の表記がGoogleの公式ページ間で割れているため、完全一致で判定する運用は避けてください。

チャネルグループとは、GA4が流入元をまとめて分類する仕組みのことです。まず公式の記載を確認します。Googleアナリティクス ヘルプの「Default channel group」では、チャネル名がAI Assistants(複数形)と表記されています。ChatGPT、Gemini、Deepseek、Copilot、Grokといったソースからユーザーが到達したチャネル、という説明です。GoogleのAI OverviewsとAI Modeは除外するとも明記されています(出典: Google アナリティクス ヘルプ)。一方、同じヘルプの「What's new in Google Analytics」では表記が違います。2026年5月13日のエントリ「New AI Assistant traffic measurement」が該当します。そこではAI Assistant(単数形)と書かれています(出典: Google アナリティクス ヘルプ)。同じGoogleの公式ページのあいだで、表記が割れている状態です。

ここで自社の実測値を1つ共有します。セルフプラスは、自社のGA4プロパティを管理画面ではなくAPI経由で参照しました(2026年7月)。セッションの既定のチャネルグループ、参照元、メディアの3つを直接取り出しています。返ってきたチャネル名はAI Assistant(単数形)でした。ごく少数のセッションではありますが、セルフプラスのプロパティで観測できた範囲では、参照元はchatgpt.comとclaude.aiでした。メディアはいずれもai-assistantという値です。つまりヘルプの一覧ページの表記と、APIが実際に返す値は一致していませんでした。件数は少なくても、ヘルプの表記とAPIが返す値が食い違っているという事実自体は、1件でも確認できれば成立します。

この観測から導かれる実務上の対処は明確です。レポートやスクリプトでチャネル名を完全一致で判定してはいけません。セルフプラスの集計スクリプトは、前方一致で表記ゆれを吸収する実装にしています。GA4の探索やLooker Studioでフィルタを作る場合も、「完全一致」ではなく「含む」または「前方一致」を選んでください。単数形と複数形のどちらに変わっても、集計が突然ゼロになる事故を避けられます。

分類の仕組みも押さえておきます。この分類はUTMパラメータではなく、リファラーの判定で行われます。UTMパラメータとは、リンクの末尾に付けて流入元を明示する印のことです。リファラーとは、直前に見ていたページのURLとしてブラウザが渡す情報を指します。ヘルプによると、参照元がAIアシスタントのリストに一致した場合、メディアがai-assistantに、キャンペーンが(ai-assistant)に設定されます。チャネルの定義は、メディアがai-assistantに完全一致することです。この仕様には両面があります。リンクからUTMパラメータが剥がれても、リファラーが一致すればチャネルに入ります。逆に、リファラーが渡らない経路では拾えません。アプリ内ブラウザからの遷移が代表例です。AI経由の流入は、GA4上の数字より実態のほうが多い可能性があると考えてください。

対象に含まれるAIサービスの範囲についても、公式間で記載が違います。「Default channel group」のページが例示しているのは、ChatGPT、Gemini、Deepseek、Copilot、Grokの5つです。ClaudeとPerplexityの記載はありません。一方、2026年5月13日の「What's new」のエントリは違います。「chatbots like ChatGPT, Gemini, and Claude」と書いています。列挙は例示であって網羅リストではない、と読むのが妥当です。セルフプラスの実測では、claude.aiがai-assistantとして記録されていました。断定はできませんが、公式の例示に載っていないサービスも拾われうる、という前提で見てください。

  1. 既定のチャネルグループでAI経由の流入を探す — 部分一致で検索する

    GA4のレポートまたは探索で、ディメンションにセッションの既定のチャネルグループを指定します。チャネル名を検索するときは「AI Assistants」と打ち込まず、「AI」で部分一致検索してください。単数形と複数形のどちらが返るかは、プロパティやタイミングで変わりうるためです。ゼロ件だった場合も、次の手順で参照元を直接確認します。

  2. 参照元/メディアで実際の値を控える

    ディメンションを参照元/メディアに切り替えます。chatgpt.com、claude.ai、perplexity.ai、gemini.google.comなど、自社に実際に来ている値を書き出してください。メディアがai-assistantになっているか、referralのままかも確認します。ここで控えた値が、後の手順とレポートの土台になります。値は月次で見直してください。AIサービスのドメインは追加・変更されるためです。

  3. フィルタは完全一致で作らない

    探索やLooker Studioでチャネルを絞り込むときは、「完全一致」ではなく「含む」または「前方一致」を使います。前述のとおり、セルフプラスのGA4プロパティでは公式ヘルプの一覧と違う表記が返っています。完全一致で組んだレポートは、表記が変わった月から静かにゼロを返し始めます。異常値ではなくゼロが出るため、気づくのが遅れます。

  4. 足りない参照元だけをカスタムチャネルグループで補う

    ネイティブのチャネルが拾えていない参照元があった場合に限り、カスタムチャネルグループで補完します。ヘルプにはChatGPT、Gemini、Microsoft Copilot、Claude、Perplexityの例が載っています。あわせて、AI Assistantsのチャネルを Referralsより上に並べ替えるよう書かれています。URLや対象アシスタントのリストが変わったら、正規表現を更新すべきとも記載されています(出典: Google アナリティクス ヘルプ)。用途は補完に限定してください。あわせて、更新の担当者と頻度を決めておきます。

  5. AI OverviewsとAI Modeは分離できない前提で設計する

    GoogleのAI OverviewsとAI Modeからの流入は、Organic Searchに合算されます。GA4側で分離する手段はありません。この2つの露出は段階②のSearch Console側で追います。GA4では「Organic Searchに含まれている」という前提を、レポートの注記に書いておきます。注記がないと、後任の担当者がOrganic Searchの増減をSEOだけの成果として読んでしまいます。

Shopifyの場合。チェックアウトを挟む遷移で参照元が切れやすく、AI経由で始まったセッションが決済ドメインからのreferralに変わることがあります。段階⑤の参照元除外とセットで確認してください。

ecforceの場合。テーマのhead編集からGoogleタグマネージャーを設置し、そこからGA4へ送ります。編集対象はec_force/shop/shared/_head_google_tag_manager.html.liquidです。スマートフォン版も別途あります(出典: ecforce テーマガイド)。

Stage 4

段階④ 指名検索・直接流入の変化を測る

4段目は、AIの回答を見た人が後から社名や商品名で検索してくる動きです。因果は証明できませんが、指名クエリの表示回数とクリック数の推移はSearch Consoleで追えます。

前提として、AI OverviewsとAI Modeの数値はすでに手元のレポートに入っています。Googleの検索セントラルの開発者向けドキュメントに記載があります。最終更新は2025年12月10日です。これらはパフォーマンスレポートの「ウェブ」検索タイプの中で報告されています(出典: Google 検索セントラル)。別枠のレポートを待つ必要はありません。今あるパフォーマンスレポートを、クエリの切り口で読み直すのが先です。

ただしカウントの規則を知らないと、数字の意味を取り違えます。Search Consoleのヘルプによると、AI Overviewsで表示回数として数えられるのは、リンクがスクロールまたは展開されて表示された場合です。またAI Overviewは検索結果の中で1つの掲載位置を占め、その中のすべてのリンクに同じ掲載順位が割り当てられます。AI Modeの掲載順位は、通常の検索結果ページと同じ方法論に従います。AI Mode内で追加の質問をした場合は、実質的に新しいクエリを実行したものとして扱われます。Search Labsの実験のデータは、Search Consoleに含まれません(出典: Search Console ヘルプ)。

この規則から、実務上の注意が2つ出ます。1つは、AI Overviewsの掲載順位を個別ページの順位として扱わないことです。同じ回答内のリンクはすべて同じ順位になるため、ページ単位の改善指標には使えません。もう1つは、AI Modeでの追加質問が別クエリとして数えられることです。会話が長引くほど表示回数の分母が増えます。CTRの低下を、そのまま品質の低下と読まないでください。

指名検索の測り方は具体的です。Search Consoleのパフォーマンスレポートを開き、クエリのフィルタで「カスタム(正規表現)」を選びます。そこに、自社の社名の表記を | でつないで入力します。たとえば社名がセルフプラスなら セルフプラス|セルフプラス|せるふぷらす|セルフ ?プラス|[Ss]elf ?[Pp]lus です。全角カナ、半角カナ、ひらがな、スペースの有無、英字表記を1本にまとめています。商品名も同じ要領で、正式名・略称・英字表記をつないでください。束ねたうえで、表示回数・クリック数・平均掲載順位の月次推移を記録します。あわせてGA4のDirectの推移も並べます。AI検索の施策を実施した日付をメモとして残し、その前後で傾きが変わっているかを見ます。因果は推定にとどまりますが、傾きの変化は判断材料になります。

補足です。指名クエリはサブドメインをまたいで発生します。Search Consoleをドメインプロパティで登録していれば、サブドメインを含めて1つのレポートで追えます。ドメインプロパティは、サブドメインをまとめて1つのサイトとして登録する形式です。またDirectは、参照元が分からない直接の訪問としてGA4が分類する流入です。

ここで、対策と計測を取り違えやすい論点に触れておきます。robots.txtでGoogle-Extendedを制御しても、AI OverviewsとAI Modeの露出は変わりません。Googleの検索セントラルによる説明はこうです(出典: Google 検索セントラル)。Google-Extendedは、Googleの他の一部のシステムにおけるAIの学習とグラウンディングを制限するものだとされています。同じページには、AI OverviewsやAI Modeに表示されるための追加要件や特別な最適化は不要とも書かれています。露出の範囲を制御したい場合に使えるのは、nosnippet、data-nosnippet、max-snippetの3つとnoindexです。nosnippetは、そのページの抜粋表示そのものを止める指定です。data-nosnippetはページ内の一部だけを抜粋対象から外す指定で、max-snippetは抜粋の最大文字数を指定します。

Stage 5

段階⑤ 成果を測る — キーイベントが未設定なら数字は出ない

5段目は成果です。GA4でキーイベントが設定されていなければ、AI経由に限らず全チャネルの成果がゼロのまま並びます。

セルフプラスがEC事業者のGA4を確認するとき、AI経由の流入より先に見るのがこの部分です。段階①から④を丁寧に測っても、成果に接続できなければ投資判断の材料になりません。着手前に、次の3点を点検してください。

  1. キーイベントが設定されているか

    GA4の管理を開き、データの表示にあるキーイベントを選びます。purchaseやgenerate_leadなど、自社の成果に当たるイベントが登録されているかを見てください。登録されていなければ、どのチャネルの成果もゼロで並びます。この状態でチャネル別のレポートを見ても、AI経由の価値は判断できません。確認は今日その場で終わります。

  2. 参照元除外が設定されているか

    GA4の管理からデータストリーム、タグ設定を行う、除外する参照のリストの順に開きます。自社ドメインと決済代行ドメインが入っているかを見て、欠けていたら追加します。決済ドメインを除外していないと、購入完了ページへの遷移がそのドメインからの参照として記録されます。セッションが分断され、AI経由で始まった訪問の成果が別チャネルに付きます。外部の決済画面を挟むECでは、ここが最も多い設定漏れです。

  3. 同意管理で計測が落ちていないか

    DebugViewは、GA4に届いたイベントをその場で1件ずつ確認できる画面です。管理メニューから開けます。DebugViewを開いた状態で、シークレットウィンドウから外部リンク経由で自社サイトへアクセスします。同意ボタンを押す前と押した後の両方で、page_viewが届いているかを見ます。届いた場合は、page_referrerに元のドメインが入っているかも確認します。同意後の1件目からしか届いていなければ、その分の参照元は失われています。AI経由の流入は初回訪問が多く、この影響を受けやすい部分です。

3点が整ったら、成果を分解して見ます。AI経由の売上は、セッション数、コンバージョン率、客単価の3つに分けて記録してください。コンバージョン率はCVRとも呼びます。AI経由の訪問は、他のチャネルと行動が違う可能性があります。ただし前述のとおり、その差はAdobeの同じ調査でも時点によって大きく動いています。2024年7月の「43%低い」が、2025年2月には「9%低い」まで縮まりました。加えて、いずれも米国小売サイトの数値です。どの時点のどの市場の値を採るかで結論が変わるため、外部の比率は当てはめられません。自社のCVRと客単価を実際に並べて確認してください。セッション数だけを他チャネルと比べると、判断を誤ります。リピート購入まで含めて評価するなら、顧客生涯価値の観点で期間を延ばして見ます。指標としてはLTVと呼ばれるものです。

理由の節で、MicrosoftのBing Webmaster Blog(2025年11月20日)に触れました。そこでの指摘のとおり、最終接点のコンバージョンだけを追う設計では、AI検索の影響を捉えきれません。段階②でシートに記録した引用数と表示回数を、成果の行と並べて見てください。すぐに相関が出なくても構いません。半年後に振り返るときの材料になります。

Shopifyの場合。管理画面側の注文数とGA4のpurchase数を、月次で突き合わせてください。差が大きい場合は、計測タグか参照元除外のどちらかに原因があります。

ecforceの場合。Googleタグマネージャー経由で購入完了イベントを送る構成になります。購入完了イベントが二重に送られていないかを、GA4のDebugViewで確認してください。

Platforms

Shopify・ecforceでの現実解

各段階で触れたプラットフォーム別の対応を、まず表で一覧にします。そのうえで、Shopifyで押さえるべき3つの実装と、ecforceで取れる構成を具体的に見ていきます。段階②と④はカートに依存しないため、手順が分かれるのは①③⑤の3つです。

段階別に見たShopify(通常のオンラインストア)とecforceの計測手段(2026年7月時点)
段階Shopify(通常のオンラインストア)ecforce
① クロール段階①のとおり生ログは参照不可。CloudflareをDNSの前段に置く場合はAI Crawl Controlで代替ログ参照の可否は公式ドキュメントで確認できていない。Cloudflare AI Crawl Controlでの代替が現実的
② 引用Bing Webmaster ToolsのAI Performance。両プラットフォームとも手順は同じ
③ 流入GA4。Custom Pixelで参照元・フルURL・ユーザーエージェントを自前で記録できるGA4。テーマのhead編集でGoogleタグマネージャーを設置し、そこから送る
④ 指名・直接Search Consoleの指名クエリとGA4のDirect。両プラットフォームとも手順は同じ
⑤ 成果GA4のキーイベント。Agentic homeでAIチャネル別の実績も確認GA4のキーイベント。ecforce AIのデータ分析機能を社内レポートに併用

Shopifyで押さえるべき現実解は3つです。順に見ていきます。

  1. Custom Pixelで参照元を自前で記録する

    Web Pixelsとは、Shopifyが用意した計測タグの実行環境です。Custom Pixelは、その中に自作のコードを置く仕組みを指します。手順は3つです。① Shopify管理画面の設定からCustomer eventsを開き、Custom Pixelを追加します。② analytics.subscribe('page_viewed', …) でイベントを購読します。その中から event.context.document.referrer を取り出し、GA4へ送ります。③ GA4側で、そのパラメータをカスタムディメンションに登録します。カスタムディメンションは、自分で送った値をレポートの列として使えるようにする登録です。登録しないと、レポートに列として出てきません。pixels managerは、管理画面のCustomer eventsにあるピクセルの管理画面です。ここからCustom Pixelを追加できる点は、Shopifyのヘルプに記載があります(出典: Shopify ヘルプ)。取得できる値は、Web Pixels APIの標準イベントのcontextにあります(出典: Shopify.dev)。参照元は context.document.referrer です。フルURLは context.document.location.href です。ユーザーエージェントは context.navigator.userAgent で取れます。限界も明確です。JavaScriptで動くため、人間のブラウザ遷移しか拾えません。クローラーやエージェントのアクセスそのものは計測できません。

  2. Agentic homeでAIチャネル別の実績を見る

    Agentic storefrontsとは、AIのチャネルへShopifyが商品データを配信する仕組みのことです。管理画面の Sales channels 内 Agentic を開くと、Agentic home が表示されます。ここでチャネルごとの実績を確認できます。指標はSales、Orders、Online store sessions、Online store conversionの4つです。Salesは、参照元経由の売上と直接チェックアウトによる売上を合算した値だとされています(出典: Shopify ヘルプ「Agentic home」)。注文は、チャネルまたは参照元の帰属つきで管理画面に表示されます。対象ストアではAgentic storefrontsが既定で有効とされているため、設定した覚えがなくても数字が出ていることがあります。注文の帰属表示と既定での有効化は、いずれも同じヘルプページの記載です(出典: Shopify ヘルプ)。ただしChatGPTチャネルには地域要件があります。米国の顧客に販売していることが条件で、ストアの所在地自体は米国外でも構いません(出典: Shopify ヘルプ)。日本国内向けのみのストアは、現状では対象外と読めます。なお、エージェントやAIクローラーのアクセス回数・引用回数を見る機能は、Shopifyの公式ドキュメントに記載がありません。

  3. 自社ドメインの /agents.md を開いて中身を確認する

    Shopifyは2026年5月28日の開発者向けチェンジログで、ストアが3つのURLを既定で自動配信すると告知しました。/agents.md、/llms.txt、/llms-full.txtの3つです。agents.md.liquidなどでカスタマイズできるとしています(出典: Shopify Developer Changelog)。自社ドメインの末尾に/agents.mdを付けてブラウザで開き、AI向けに何が配信されているかを見てください。中身を知らないまま計測だけ整えても、何を改善すべきかは決まりません。

robots.txtにも注意点があります。Shopifyはテーマのコードエディタにrobots.txt.liquidを追加してカスタマイズできるとしています。ただしShopifyはこれをサポート対象外のカスタマイズと位置づけています。誤った使い方をするとすべてのトラフィックを失う可能性があるとも警告しています(出典: Shopify ヘルプ)。計測上さらに重要なのは、別のヘルプページの記載です。/robots.txtやネットワーク層でAIクローラーをブロックしても、影響するのはオープンウェブでの発見性だけです。有効化したAgentic storefrontsへShopify Catalogが商品データを送ることは止まりません。Shopify Catalogは、Shopifyが各AIチャネルへ商品データを配信する仕組みです(出典: Shopify ヘルプ)。robots.txtの記述だけを見て「AIには出していない」と判断することはできません。

ecforceでは、段階③で示したGoogleタグマネージャー構成が前提です。ShopifyのWeb Pixelsのような公式のサンドボックスAPIはありません。サンドボックスAPIは、サイト本体のコードから切り離された領域で計測コードを動かす仕組みです。ecforceでは、テーマの直接編集とGoogleタグマネージャーの組み合わせになります。段階③から⑤は、この構成でGA4に集約できます。

ecforce AIについても整理しておきます。SUPER STUDIOは2025年8月19日に、ecforce AIの無償提供を開始しました(出典: ecforce)。有償版は2026年3月2日に提供開始で、申込受付は2026年2月6日に案内されています(出典: ecforce)。有償版では最大5つのエージェントを作成でき、AIモデルはChatGPT・Gemini・Claudeから選べます。メンバーと権限の管理、利用量の分析も含まれます。対象はecforceおよびecforce cdpです。料金は月額と従量課金の組み合わせと案内されており、金額は公表されていません。製品ページで挙げられている機能は4つです。業務効率化、データ分析(広告分析・受注分析・問い合わせ分析)、クリエイティブ制作、チームの生産性向上が該当します(出典: ecforce)。

正直に書いておくべき点があります。AI検索経由の流入計測やLLMの引用計測に関する記述は、ecforceの公式情報には見当たりません。したがってecforceを使う事業者にとっての現実解は1つです。段階③から⑤をGoogleタグマネージャー経由のGA4で押さえます。そのうえで段階①をCloudflare AI Crawl Control、段階②をBing Webmaster Toolsで補います。カートの機能を待つ必要はありません。どちらも今日から着手できます。

Risks

よくある失敗3つと、その回避方法

AI検索の計測は、設定の失敗が数字の異常として現れにくい領域です。なぜ間違えやすいのかという仕組みから、3つ挙げます。

ネイティブのチャネルと自作の定義が二重になる

AIアシスタント系のチャネルがGA4に用意される前は、自作のカスタムチャネルグループで代用するのが一般的でした。その定義を残したままネイティブのチャネルが増えると、同じ流入が2つの名前で並びます。どちらの数字を見ているか分からなくなり、月次の比較が成立しません。自作は段階③で述べた補完の用途に限定し、不要になった定義は残さないでください。

学習を拒否したつもりで、送客の経路まで止まる

AIクローラーの拒否設定は、robots.txtに User-agent: * を1行書いて済ませる形になりがちです。あるいは、ブロックしたい会社名で検索して出てきたクローラー名を、まとめて貼り付ける形です。どちらも学習用と検索回答用を区別しません。結果として、止めたかったのは学習だけなのに検索回答からの送客まで止まります。拒否はクローラー名の単位で決め、何を止めて何を通すかを一覧にして残してください。段階①の表がその一覧の出発点になります。

露出に影響しない設定変更を、施策ログに残してしまう

「Google-Extendedをブロックした」を施策ログに残しているケースがあります。この設定は、段階④で述べたとおりAI OverviewsとAI Modeの露出には影響しません。前後比較の原因として記録すると、判断を誤ります。ログから外すか、「露出には影響しない設定変更」と注記してください。

なお、AI検索での表示や引用、順位は、どの事業者にも約束できるものではありません。計測の目的は、露出の確約を得ることではありません。判断を誤らないための材料をそろえることです。

Checklist

今日・今月・今期に分けた着手チェックリスト

計測は、確認するだけで終わる作業と、体制の判断を伴う作業が混ざります。セルフプラスでは「今日・今月・今期」に分けて着手する順番を決めています。

  1. 今日やること — 現在地を確認する(項目1〜7)

    1. スプレッドシートを1枚作り、A列に段階①〜⑤、B列に指標名と取得元ツール、C列に今日の取得月を置く。以降の2〜7で確認した値をC列に書き込む。

    2. GA4のレポートまたは探索で、既定のチャネルグループにAIアシスタント系のチャネルが出ているかを見る。完全一致で探さず「AI」で部分一致検索する。

    3. 参照元/メディアで、chatgpt.comやclaude.aiなど実際に来ている値とメディアの値を書き出す。

    4. Bing Webmaster Toolsに自社サイトが登録済みかを確認する。未登録なら所有権の確認方法(DNSレコード、HTMLファイル、metaタグ)のうち自社で実行できるものを1つ決める。DNSの権限が社外・他部署にある場合は、この時点で依頼を出す。

    5. Search Consoleを開き、生成AIパフォーマンスレポートが自社プロパティに出ているかを見る。出ていなければ通常のパフォーマンスレポートで代用する。

    6. Shopifyを使っている場合は、自社ドメインの末尾に/agents.mdを付けてブラウザで開き、AI向けに何が配信されているかを見る。ecforceの場合は、テーマのhead編集画面を開き、Googleタグマネージャーのタグが実際に設置されているかを見る。

    7. GA4の管理を開き、データの表示にあるキーイベントで、purchaseなど成果に当たるイベントが登録されているかを見る。未登録なら段階⑤は測れないため、ここを最優先にする。

  2. 今月やること — 測れる状態に整える(項目8〜12)

    8. Bing Webmaster Toolsの所有権確認を完了し、AI Performanceのタブを開いて総引用数を基準値シートの段階②の行に記録する。

    9. 段階①のクロールを測る手段を決める。自社サーバーがあればアクセスログのユーザーエージェントを日次で集計する。Shopifyの通常のオンラインストアは段階①のとおり参照不可のため、CloudflareをDNSの前段に置いていればAI Crawl Controlを使う。置いていなければ、Bing Webmaster Toolsの引用数とCustom Pixelの記録で代替する。

    10. GA4の管理からデータストリーム、タグ設定を行う、除外する参照のリストの順に開く。自社ドメインと決済代行ドメインが入っているかを見て、欠けていたら追加する。

    11. Search Consoleで指名クエリを正規表現で束ね、表示回数・クリック数の月次推移を記録し始める。

    12. Bing Webmaster ToolsのTopicsとCitation Shareで、引用されているトピックを上位5つ書き出す。自社が売りたい商品カテゴリと一致していないトピックがあれば、その差分が次の施策対象になる。観察用の指標なので、順位表として社内に配らない。

  3. 今期やること — 判断の前提を決める(項目13〜14)

    13. 5段それぞれの指標に、基準値・確認頻度・担当者を割り当てる。確認頻度の目安は、①から④までが月次、⑤成果が週次。単位が違うため合計せず、5本の推移として残す。

    14. AIボットの許可方針を、Search・Agent・Trainingの用途別に明文化する。Cloudflareでは2026年9月15日以降に新規登録するドメインの既定が変わる。既存ドメインの設定は自動では変わらないため、自社の現在の設定が意図どおりかを一度確認し、学習は拒否して検索は許可するといった線引きを社内で合意しておく。

13と14以外は、担当者が自分の手で終えられます。セルフプラスが支援する場合も、まず社内で現在地を判断できる状態をつくることを先に置きます。判断の軸が社内にあれば、ツールの仕様が変わっても対応を自分たちで決められるためです。

5段の推移が3か月分たまったあと、どの段が伸びていて、どこで止まっているかの読み方は、業種や商材で変わります。判断に迷う場合は無料診断で、自社の数字を5段のどこに当てはめて読むかだけを整理できます。

AI検索の効果測定チェックリストを今日・今月・今期の3段階で示した図

FAQ

AI検索の効果測定のよくあるご質問

AI検索の効果測定では何を見ればよいですか。

クロール・引用・流入・指名検索・成果の5段に分けて見ます。AIクローラーのクロール数、AIの回答での引用数と表示回数、AI経由のセッション数、指名クエリの表示回数とクリック数、AI経由のキーイベント数の5つです。段ごとに使うツールが違うため、まとめて1つの数字にはできません。

GA4でChatGPTからの流入は確認できますか。

確認できます。GA4の既定のチャネルグループにAIアシスタント系のチャネルがあり、参照元が対象リストに一致するとメディアがai-assistantに設定されます。ただしチャネル名の表記がGoogleの公式ページ間で割れているため、完全一致ではなく部分一致で探してください。

Google AI Overviews経由のアクセスはGA4で分けられますか。

分けられません。Googleアナリティクスのヘルプは、AIアシスタントのチャネルがGoogleのAI OverviewsとAI Modeを除外すると明記しています。これらはOrganic Searchに合算されます。露出の把握はSearch Console側で行ってください。

Search ConsoleでAI検索の表示回数は見られますか。

AI OverviewsとAI Modeの数値は、通常のパフォーマンスレポートのウェブ検索タイプに合算して報告されています。2026年6月3日に発表された生成AIパフォーマンスレポートは表示回数のみを扱い、段階的な提供のため自社のプロパティに出ていないことがあります。

ShopifyではAI検索の効果を何で測りますか。

通常のオンラインストアではサーバーログを直接参照できないため、GA4とBing Webmaster Toolsを軸にします。クローラーの動きはCloudflare AI Crawl Controlで補い、参照元とユーザーエージェントの記録はCustom Pixelで取得できます。

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Supervisor

この記事の監修者

株式会社セルフプラス 代表取締役 黒岩俊児

黒岩 俊児

株式会社セルフプラス 代表取締役 / Shopify Plusパートナー・ecforceオフィシャル認定パートナー

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測れている状態を、自社の手で。

Shopifyやecforceで自社ECを運営し、AI検索の対策はすでに始めているものの、成果を社内で説明できずにいる事業者向けです。5段のどこで計測が途切れているか分からない場合にご利用ください。無料診断では、今の設定で何が測れていて何が測れていないかを整理し、今日・今月・今期で着手する順番をお返しします。運用は社内で回せる形にしてお渡しします。

  • オンライン相談可能
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  • 無理な営業は行いません