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Claudeのテキスト透かし|EUのAI表示義務

Anthropicが2026年8月14日、Claudeが生成するテキストに、読んでも分からない透かしを入れると公式サイトで発表しました。今後のClaudeモデルが対象で、2026年8月2日より前に公開されたモデルにも数か月かけて広げるとしています。EUの表示義務が背景ですが、地域を分ける方法がないため適用は世界共通です。

Summary

この記事の要点

「AIで書いたことがバレる」という話に読めますが、公式の記載を追うとそこまでの機能ではありません。要点は3つです。

  1. Claudeの出力に、読んでも分からない印が入る

    語を選ぶときのランダムさの出どころを鍵に置き換える方式で、Google DeepMindが公表したSynthID-Textの手法に沿うと記載されています。速度への影響はごくわずかで、追加のトークンも生じないため費用は変わらないとされ、日本を含む世界共通で適用されます。

  2. 読めるのはAnthropicだけで、検出APIはまだ提供されていない

    透かしを読む鍵はAnthropicが保持し、検出APIは「近く提供する」「詳細を検討中」と記載されています。第三者の検出ツールはこの透かしを読めません。

  3. 「AIが書いたかどうか」の判定装置ではない

    公式が分かるとしているのは「Claudeが何らかの形で関与した可能性が高い」ことだけです。人が書いたことの確認にはならず、他のAIが書いたものかどうかも分からないと明記されています。

Basics

前提:電子透かしとは何か、画像の場合とどう違うのか

電子透かしは、データに印をつけて後から確認できるようにする技術です。今回のテキスト透かしは、文章に文字を足すのではなく、語を選ぶ過程そのものを使います。同じAnthropicでも、画像などのファイルはまったく別の方式です。

Anthropicは、テキストには何も追加されず、隠し文字も入らないと明記しています。仕組みは語の選び方の側にあります。AIは次の語を選ぶとき、どちらを選んでも意味が変わらない場面では、成立する候補の中からランダムに1つを選びます。透かしを使う場合も選ばれる語はランダムのままで、変わるのはランダムさの出どころです。通常の乱数の代わりに、鍵と直前の数語を使って選びます。そのため鍵を持つ人だけが、語の並びが鍵を使ったときの選び方と一致するかを後から確認できます。公式は、透かしによってClaudeが特定の語に偏るようになるわけではないとも記載しています。

観点テキストの透かし画像などファイルのC2PA
どこに現れるか語の並び方。公式は「テキストには何も追加されず、隠し文字もない」と記載ファイルのメタデータ。暗号署名された短い記録を添える
中身は変わるか選ばれる語はランダムのまま。変わるのはランダムさの出どころ公式は「ファイルの中身は何も変わらない。埋め込みや隠蔽ではない」と記載
書き換えたら軽い編集ではおそらく完全には消えない。全ての語を置き換える完全な書き直しでは消えるファイルに添える方式のため、テキストの編集とは性質が異なる
誰が読めるか鍵を持つAnthropicのみC2PAは業界標準の仕組みで、対応ツールで読める

ECの現場に当てはめると、商品説明文やメールマガジンの原稿はテキストの側、AIで作った商品まわりの画像はC2PAの側にあたります。生成AIをEC業務でどう使うかの全体像は生成AIのEC活用、社内業務での使い方はAI社員という考え方で整理しています。

Announcement

公式発表の要点

Anthropicは2026年8月14日、公式サイトでテキスト透かしの仕組みを公開しました(出典: Anthropic公式サイト「How Claude's text watermark works」)。公式に記載されている内容は次のとおりです。

項目公式に記載されている内容
発表日・発表主体2026年8月14日、Anthropic
対象今後のClaudeモデルが生成するテキスト。2026年8月2日より前に公開されたAnthropicのモデルには移行期間があり、今後数か月かけて展開
方式Google DeepMindが公表したSynthID-Textの手法。語を選ぶランダムさの出どころを、通常の乱数から鍵と直前の数語に置き換える。テキストには何も追加されず、隠し文字も入らない
出力への影響品質・内容に実用上の影響はないと記載。速度への影響もごくわずかで、追加のトークンが生じないため提供・利用の費用も変わらない
適用範囲地域ごとに範囲を限定する持続的な方法がまだないため、提供開始時点で世界共通に適用
他社の動き透かしはClaude固有のものではなく、同じ行動規範に署名した他の主要な開発元も独自の透かしを実装する予定と記載
含まれない情報透かしは識別情報を含まず、特定の個人・組織・チャットにはたどれないと記載
文章の種類による差事実を述べる文章は、正確さを落とさずに選べる語が少ないため透かしが薄くなる。正確さが求められるコードも他の形式の文章より透かしが少ない。一方、Claudeが訳した翻訳は全ての語をClaudeが選ぶため透かしが入る
背景2026年8月2日以降、EUは域内市場に提供するAI事業者にAI生成コンテンツの表示を求めている。Anthropicは2026年7月にEUの透明性に関する行動規範に署名
検出検出ソフトを提供する各社はAnthropicの鍵を持たないため、この透かしを読めないと記載。検出APIを近く提供する予定で、実装の詳細は検討中
画像などのファイルC2PA規格に沿い、ファイルのメタデータへ暗号署名された記録を添える。ファイル自体は変更されない

公式は、この透かしで何ができないかも明記しています。

  1. 人が書いたかどうかの確認にはならない

    透かしから分かるのは「Claudeが何らかの形で関与した可能性が高い」ことだけだと記載されています。人が書いた文章であることの確認にはならず、他のAIが書いたものかどうかも分かりません。

  2. 短い文章では十分に働かない

    語を選ぶ機会が少なく、判断材料が乏しいためです。文章が長くなるほど、Claudeの関与についての確度は上がると記載されています。

  3. 全ての語を置き換えれば消える

    軽い編集ではおそらく完全には消えないものの、全ての語を置き換える完全な書き直しをすれば消えると記載されています。Claudeが人の書いた文章を校正した場合も、変更が検出に足りないことがあります。

第三者の検出サービスはこの透かしを読めず、文章の特徴を調べる別の方式で判定しています。日本国内での提供時期や運用について、個別の記載はありません。本記事の執筆時点(2026年8月16日)で公式に確認できるのはここまでです。

Analysis

セルフプラスの見解 — 検出される心配より、説明できる体制のほうが実務に効く

ここからは公式発表を踏まえたセルフプラスの分析で、事実の要約とは分けて記載します。この発表を「AIで書いた記事が見つかって不利になる」と読むと、対応の方向を誤ります。読み取れる鍵はAnthropicしか持っておらず、検索エンジンや第三者のツールがこれを使える状態にはありません。

1. 検索順位の話は、この発表には含まれていない

Anthropicの発表に、検索評価や検索順位への言及はありません。透かしを読めるのはAnthropicだけだと記載されているため、外部が透かしを根拠に判定できる状態でもありません。さらに公式は、透かしが識別情報を含まず、特定の個人・組織・チャットにはたどれないと明記しています。よく見かける「AIで書いた記事は検索で不利になる」という不安と、今回の透かしは別の話です。AIO(AI最適化)LLMOの観点で問われるのは、書いた手段ではなく、内容が検証できるか・出典が示されているか・読者の問いに答えているかです。この点は今回の発表で何も変わっていません。

2. 変わるのは「後から説明できるかどうか」の前提

実務上の変化があるとすれば、AIの関与が技術的に確認され得る状態になったことです。今はAnthropicしか読めませんが、検出APIが提供されれば、確認の手段が社外にも広がる可能性があります。公式には、透かしはClaude固有のものではなく、同じ行動規範に署名した他の主要な開発元も独自の透かしを実装する予定だと記載されています。つまりこれは、使うAIを変えれば避けられる話ではありません。ここで問題になるのは「AIを使ったこと」ではなく、使い方を説明できないことです。

状況説明できない体制説明できる体制
記事の事実関係を問われた誰が何を確認したか記録がなく、出典もたどれない出典URLと確認日が記事の管理表に残っており、担当者が答えられる
商品説明の表現を指摘されたAIが出した文をそのまま掲載しており、根拠の所在が不明薬機法・景品表示法の観点で誰が確認したかが決まっている
取引先からAI利用の有無を聞かれた社内で方針が決まっておらず、回答が担当者ごとに割れるどの工程でAIを使い、誰が最終確認するかを文書で示せる

右の列は、透かしの有無に関係なく必要なものです。今回の発表は、それを先送りにしにくくする材料が1つ増えた、という位置づけだと考えています。社内でのAI利用を業務手順に落とす進め方は生成AI業務効率化で扱っています。

3. 「編集すれば消える」を運用の前提にしない

公式には、軽い編集ではおそらく完全には消えないものの、全ての語を置き換える完全な書き直しをすれば消えると記載されています。つまり、手を入れる程度によっては残ります。いずれにせよ、透かしを消すために書き直すという発想は、実務上ほとんど意味がありません。理由は2つあります。第1に、透かしが無いことはAIを使っていない証明にはならず、そもそも証明の道具になりません。第2に、人が手を入れるべき理由は透かしではなく、事実確認・自社の表現ルール・読者にとっての分かりやすさだからです。同じ「書き直す」でも、目的が違えば直す箇所が変わります。

4. EU向けに販売しているなら、確認先は自社の法務になる

背景にあるEUの表示義務は、AIを提供する事業者に向けた規制として説明されています。日本のShopify・Shopify Plus・ecforceストアがEU域内へ販売している場合に、自社のコンテンツ表示にどこまで義務が及ぶかは、今回の発表からは判断できません。該当する可能性がある場合は、この記事ではなく法務の専門家に確認してください。越境販売をしていない事業者にとっては、現時点で直接の義務が生じる発表ではありません。

「透かしでAI生成が判別できるようになった」とは言えません

公式が明記しているとおり、この透かしで分かるのは「Claudeが何らかの形で関与した可能性が高い」ことだけです。人が書いたことの確認にはならず、他のAIが書いたものかどうかも分かりません。短い文章では十分に働かず、全ての語を置き換える書き直しをすれば消えるとも記載されています。したがって、透かしが検出されないことはAIを使っていないことの証明にはならず、逆に検出されても文章全体の作られ方までは分かりません。透かしは識別情報を含まず、特定の個人・組織・チャットにはたどれないとも明記されています。検出APIは提供前で実装の詳細も検討中の段階であり、現時点でこの仕組みを前提にした社内ルールを作るのは早いと考えています。

Action

明日から何をすべきか

透かしそのものへの対応作業はありません。この発表をきっかけに整えると効果があるのは、AIで作った文章と画像の扱い方です。3つとも、使っているAIの種類を問わず実行できます。

  1. 公開前の最終確認者を、コンテンツの種類ごとに決める

    商品説明文、記事、メールマガジン、広告文それぞれについて、誰が事実と表現を確認してから公開するかを決めます。AIが下書きを作る前提で運用するなら、確認の工程を省くのではなく、確認だけに人を残す形にします。ここが決まっていれば、後から問われたときに答えられます。

  2. 出典と確認日を、記事の管理表に残す

    数値や仕様を書いた箇所について、参照した一次情報のURLと確認した日付を記録します。AIの利用有無にかかわらず必要な作業ですが、AIに下書きを任せるほど重要になります。誤りが見つかったときに、どこを直せばよいかがすぐ分かります。

  3. AI利用の社内方針を、1ページで文書にする

    どの工程でAIを使ってよいか、使ってはいけない情報は何か、公開前に誰が確認するかの3点を書きます。取引先や監査で聞かれたときの回答をそろえるためのもので、長い規程は要りません。現状を書き出すところから始められます。

Claudeの動向はClaude Opus 5の公開Claude Coworkのウェブ・モバイル対応でも扱っています。AI検索経由の流入をどう測るかはAI検索の効果測定、AI検索で参照されるためのサイト設計はAI検索に出てこない課題にまとめています。

FAQ

この発表に関するよくあるご質問

透かしが入ると、検索順位に影響しますか。

今回のAnthropicの発表に、検索順位や検索評価への言及はありません。透かしを読めるのはAnthropicだけだと記載されているため、検索エンジンがこれを利用できる状態でもありません。影響を断定できる材料は、現時点では確認できていません。

自分でAI生成かどうかを判定できますか。

できません。公式は、検出ソフトを提供する各社はAnthropicの鍵を持たないため、この透かしを読めないと記載しています。第三者のサービスは、文章の特徴から推定する別の方式です。検出APIは近く提供する予定で、詳細は検討中とされています。

日本の事業者にも透かしは入りますか。

入ります。Anthropicは、地域ごとに範囲を限定する持続的な方法がまだないため、提供開始時点で世界共通に適用すると記載しています。背景はEUの表示義務ですが、対象は欧州向けの出力に限られていません。

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Supervisor

この記事の監修者

株式会社セルフプラス 代表取締役 黒岩俊児

黒岩 俊児

株式会社セルフプラス 代表取締役 / Shopify Plusパートナー・ecforceオフィシャル認定パートナー

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AIで作るコンテンツの、確認の工程を決める。

どこまでAIに任せ、どこを人が確認するかは、扱う商材と体制で変わります。無料相談で、自社の工程に合わせた線引きを整理できます。

  • オンライン相談可能
  • 相談内容がまとまっていなくても問題ありません
  • 無理な営業は行いません