KNOWLEDGE — SHOPIFY NEWS
Shopifyチェックアウト設定の推奨|日本の注意点
Shopifyが2026年8月13日、チェックアウトの顧客情報設定について、管理画面に推奨設定を表示する機能をマーチャント向けチェンジログで発表しました。既存ストアの設定は、推奨を適用しない限り変わりません。一方で新規ストアは推奨設定が既定で適用済みとされているため、これから開店するストアは配送先の電話番号の扱いを開店前に確認してください。
Official
公式発表の要点
Shopifyは2026年8月13日、マーチャント向けチェンジログ(changelog.shopify.com)で「Recommended changes to checkout field settings are now available」を公開しました。管理画面のチェックアウト設定ページで、顧客情報の収集設定について個別化された推奨が表示されるようになる、という内容です。区分は「Improvement/Admin」とされています。
- チェックアウトの顧客情報設定とは
- 購入手続きの画面で、購入者からどの情報をどこまで受け取るかを決める設定です。姓と名を必須にするか、顧客の連絡手段をどうするか、配送先住所の電話番号を受け取るかといった項目が含まれます。
設定が自動で書き換わる発表ではありません。
推奨の目的も記載されています。チェックアウトでより完全な顧客情報を集め、過去の購入者への再接触とマーケティングの個別化をしやすくする、という趣旨です。要点は次の3点です(出典: Shopify Changelog)。
推奨に含まれうる項目
公式には、推奨に含まれる場合がある(may include)項目として3つが挙げられています。顧客の連絡手段をメールのみに設定すること、姓と名を必須にすること、配送先住所の電話番号を任意で収集することの3点です。表現は「含まれる場合がある」であり、すべてのストアに同じ推奨が出るとは書かれていません。
既存ストアは適用するまで変わらない
推奨は管理画面のチェックアウト設定から内容を確認し、変更を適用できるとされています。そのうえで「既存ストアの設定は、推奨を適用しない限り変わらない」と明記されています。つまり、放置しても勝手に設定が書き換わる発表ではありません。
新規ストアは既定で適用済み
「新規ストアは既にこれらの推奨設定を既定で使用している」と記載されています。ここが既存ストアとの最大の違いで、これから開くストアは、自分で選んだわけではない設定が初期状態になっている、という前提で確認する必要があります。
提供状況について。公式チェンジログに書かれている対象は「対象となるストア(Eligible stores)」のみで、対象プラン・対象地域・正式版かベータかについての記載はありません。何をもって対象となるのかの条件も示されていません。したがって、ShopifyとShopify Plusで扱いが分かれるかどうかも、日本のストアが対象に含まれるかどうかも、公式には確認できていません。自社の管理画面に推奨が表示されるかどうかで確認してください。
Our View 1
対応が必要な事業者と、そうでない事業者
先に切り分けます。既に運用中のストアは、今日やるべき作業はありません。公式に「適用しない限り既存の設定は変わらない」と書かれている以上、管理画面に推奨が出ていても、慌てて適用ボタンを押す必要はありません。確認が要るのは、これから新しくストアを開く場合と、推奨を適用しようと考えている場合です。
この発表が実務に効くのは、次の2つの場面です。1つは新規出店。既定で推奨設定が入っている状態から始まるため、開店前のチェックリストに「チェックアウトの顧客情報設定を見る」を1行足す必要があります。もう1つは既存ストアで推奨を適用しようとする場面で、ここは「表示されたからまとめて適用する」ではなく、項目ごとに判断する話になります。
推奨そのものの狙いは理解できるものです。姓名を分けて確実に取得し、連絡手段を揃えておけば、購入後のセグメント配信や再購入の掘り起こしがやりやすくなります。CRMの設計から見れば、顧客情報が欠けているほど後工程で困るのは事実です。ただしチェックアウトの入力項目は、増やせばCVRに、減らせば配送とカスタマーサポート(CS)に跳ね返ります。マーケティング側の都合だけで決めてよい設定ではありません。
Our View 2
日本の配送実務と噛み合うかを、項目ごとに見る
推奨に含まれうる3項目は、日本のEC事業者にとって重みが同じではありません。最も慎重に判断すべきは、配送先住所の電話番号の扱いです。以下はセルフプラスによる整理で、公式発表に書かれている内容そのものではありません。
| 推奨に含まれうる項目 | 日本の実務での論点 | 判断の目安 |
|---|---|---|
| 配送先住所の電話番号を任意で収集 | 宅配便では不在時の連絡や再配達の調整に電話番号が使われる場面がある。収集方針を変えると配送とCSに影響しうる | 最も慎重に見る項目。現在の設定と、変更後にどうなるかを並べて比べる |
| 顧客の連絡手段をメールのみにする | 注文連絡をSMSでも運用している場合、経路が減る。メール中心の運用なら影響は小さい | 自社の注文連絡・配送通知の経路を棚卸ししてから判断する |
| 姓と名を必須にする | 日本の宛名・請求書・会員データは姓名を分けて持つ形が一般的で、必須化と相性は悪くない | 影響は比較的小さい。既に必須なら変更なし |
とくに電話番号です。日本の宅配では、不在票からの再配達依頼や、配達員からの直接連絡といった経路が実務として存在します。ここで取得率が下がると、影響が出るのはチェックアウトではなく、その後の配送とカスタマーサポートです。CVRやCRMの指標だけを見ていると、影響が別の場所に出るため気づくのが遅れます。生鮮・冷蔵冷凍・大型商材・時間帯指定を伴う商材を扱っているストアほど、この項目は慎重に扱うべきだと考えています。
公式の文面だけでは、変更の方向が一意に読み取れません
公式の表現は「optionally collecting shipping address phone number(配送先住所の電話番号を任意で収集する)」です。この一文からは、変更の方向を確定できません。電話番号を集めていない状態から任意収集を始めることなのか、現在必須にしているものを任意に緩めることなのかが、書き分けられていないためです。チェンジログにそれ以上の説明は書かれていないため、本記事でどちらかに断定することは避けます。実務上の答えは、自社の管理画面で「今の設定」と「推奨を適用した場合の設定」を並べて確認することでしか出ません。推奨を一括で適用してから差分を探す進め方は避けてください。
Our View 3
明日から何をすべきか
運用中のストアだけを持っていて新規出店の予定がないなら、推奨を適用しないという判断だけで対応は完了します。新規出店の予定がある場合と、推奨を適用したい場合だけ、以降の手順に進んでください。
既存ストアは「適用しない」を既定にする
管理画面のチェックアウト設定に推奨が表示されていても、その場で適用しないでください。公式に、適用しない限り既存ストアの設定は変わらないと記載されています。新規出店の予定がなく、現在の設定に不満がないなら、この発表への対応はここで終わりです。運用メンバーが複数いる場合は、「推奨が出ても独断で適用しない」とだけ共有しておきます。
新規ストアは開店前に設定を見る
これから開くストアは、推奨設定が既定で入った状態から始まります。公開前のチェックリストに、チェックアウトの顧客情報設定の確認を1行追加してください。確認するのは、配送先住所の電話番号・顧客の連絡手段・姓名の3点です。
電話番号の使いどころを先に棚卸しする
設定をいじる前に、自社が電話番号を何に使っているかを書き出します。配送会社への連携、再配達の案内、CSからの折り返し、代引きや時間帯指定の確認など、実際の使用場面を挙げてください。使っていないなら任意で構いませんし、使っているなら緩められません。この棚卸しが、そのまま判断基準になります。
適用するなら、変更の差分を記録する
推奨をまとめて適用すると、何が変わったのかを後から追えなくなります。適用する場合は、可能であれば1項目ずつ行ってください。一括でしか適用できない場合は、適用前に現在の設定をスクリーンショットで残し、適用後に見比べます。適用前後のチェックアウト画面は、スマートフォンとPCの両方で実際に開いて確認します。テスト注文を1件通し、注文データに必要な項目が入っているかまで見てください。
適用後は配送とCSの側で結果を見る
効果と副作用が出る場所が違うため、見る指標を分けます。見るのは4点です。チェックアウトの完了率、電話番号が空欄の注文の割合、再配達の発生、CSへの住所・連絡先に関する問い合わせ件数を、適用から2〜4週間ほど並べて確認します。悪化していれば、適用前の設定に戻すことを検討してください。
チェックアウトの設定変更をCVRと配送・CSの両面から詰めたい場合はShopify運用代行で扱っています。購入後の顧客データ活用まで含めて設計したい場合はCRM設計・リピート施策をご覧ください。判断だけ相談したい場合は無料相談をご利用ください。
関連する仕様変更も整理しています。注文の配送先住所を変更したときの税の再計算はShopifyの注文住所変更と税の再計算、割引の重ねがけは同一商品への複数割引の適用をご覧ください。
FAQ
この発表に関するよくあるご質問
既存ストアはすぐ対応が必要ですか。
必要ありません。公式チェンジログには、推奨を適用しない限り既存ストアの設定は変わらないと記載されています。管理画面に推奨が表示されても適用は任意です。内容を確認したうえで、自社の配送とCRMの運用に合うかを項目ごとに判断してください。
新しく開くストアでは何を確認すべきですか。
新規ストアは推奨設定が既定で適用済みと公式に記載されています。開店前にチェックアウト設定を開き、配送先住所の電話番号と顧客の連絡手段の扱いを確認してください。日本の配送では電話番号を使う場面があるため、自社の運用に合うかを判断する必要があります。
対象プランや日本での提供状況は公表されていますか。
公表されていません。公式チェンジログの記載は対象となるストアという表現のみで、対象プラン・対象地域・正式版かどうかは確認できていません。ShopifyとShopify Plusで扱いが分かれるかも不明です。自社の管理画面に推奨が出るかどうかで確認してください。
