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Perplexity Projects|チーム利用で変わる点

Perplexityが2026年8月4日、公式チェンジログで共有ワークスペース「Projects」を発表しました。人とAIエージェントが同じファイルを編集し、記憶と外部サービス連携をプロジェクト単位で持つ仕組みで、既存のSpacesは自動的に移行されると記載されています。あわせて複数のモデルに同じ問いを投げる「Model Council」なども告知されました。

Summary

この記事の要点

新機能の一覧ではなく、社内でAIを使っている企業の運用がどう変わるかに絞って整理します。要点は3つです。

  1. AIに任せる単位が「その場の会話」から「続きのある仕事」へ移った

    Projectsは、人とエージェントが同じファイルを編集する永続的なファイルシステムを持つと公式に記載されています。毎回ゼロから状況を説明し直す前提ではなく、前回までの資料と履歴の上に次の作業を積む前提の作りです。

  2. 共有しても、個人の記憶とコネクタのアカウントは個人に閉じたままとされている

    公式には、共同編集者を招待しても個人の記憶とコネクタのアカウントは各利用者ごとにスコープされると記載されています。チームで使うときに最初に不安になる点が、仕様として先に手当てされている形です。

  3. 重要な判断で、1つのモデルの答えを鵜呑みにしない選択肢が用意された

    Perplexity Computer内のModel Councilは、2〜8個のモデルを独立に走らせ、一致点・相違点・各モデル固有の指摘を統合すると公式に記載されています。多数決で正解を決める仕組みだとは記載されておらず、判断材料の食い違いを見えるようにする機能として読めます。

Basics

前提:Perplexity Computer・Spaces・Brain・コネクタとは

今回の発表は、検索サービスとしてのPerplexityではなく、作業を代行させる側の機能に関するものです。読み解くために必要な用語を先に整理します。

用語意味実務での意味合い
Perplexity ComputerPerplexityが提供する、調査や資料作成などの作業を代行させる機能質問して答えを読む使い方ではなく、成果物を作らせる使い方にあたる
Spacesこれまで提供されていた、資料をまとめて置いておく単位今回Projectsへ名称と機能が引き継がれ、既存分は自動移行と公式に記載
ProjectsPerplexity Computer上の共有ワークスペース。永続的なファイル、記憶、コネクタを持つ人とAIが同じファイルを編集する。チーム単位の作業場になる
Brain作業の合間にプロジェクトのファイルや履歴を読み、文脈を引き継ぐ記憶の仕組み前回の指示を毎回書き直す手間が減る一方、誤った前提も引き継がれる
コネクタ外部サービス(メール、ストレージ、チャットなど)との接続設定今回、プロジェクトごとに接続するアカウントを限定できると公式に記載
Model CouncilPerplexity Computer内の機能。複数のモデルに同じ問いを独立に投げ、結果を統合する判断が割れる論点で、モデル間の相違点を人が確認する材料になる

AIに作業を任せる考え方の全体像はAI社員とAIエージェントの違いで、生成AIを業務へ組み込む進め方は生成AIのEC活用で整理しています。

Announcement

公式発表の要点

Perplexityは2026年8月4日、公式チェンジログで一連の更新を告知しました(出典: Perplexity公式チェンジログ「Shared workspaces, Personal Computer for Windows, and Model Council」)。業務利用に関係する点は次のとおりです。

項目公式に記載されている内容
発表日・発表主体2026年8月4日、Perplexity
ProjectsPerplexity Computer上の共有ワークスペース。人とエージェントが同じファイルを編集する永続的なファイルシステム、Brainによる記憶、プロジェクトごとにスコープできるコネクタを持つ
Spacesの扱いProjectsはSpacesの進化版であり、既存のSpaceはすべて自動的に移行される
共有時のデータ共同編集者はファイル・成果物・履歴を共有する。個人の記憶とコネクタのアカウントは各利用者にスコープされたまま
チャットツール連携SlackまたはTeamsのチャンネルを /project でプロジェクトに紐づけ、チャンネル内のComputerアプリからプロジェクトの文脈を持ったまま作業を開始できる
Personal Computer for WindowsWindows版Perplexityアプリで提供。ローカルファイルの読み書き、バックグラウンド実行、ウェブとデスクトップ間での作業の引き継ぎ
Model CouncilPerplexity Computer内の機能。OpenAI・Anthropic・Gemini・オープンソースから2〜8個のモデルを選び、独立に実行して一致点・相違点・各モデル固有の指摘を統合する
Kimi K3ProおよびMax加入者向けにPerplexityとPerplexity Computerで提供。米国内のサーバーでのみホストされると記載
NumbatAIコーディングエージェントの挙動を監視し、危険な操作を実行前に止めるオープンソースのセキュリティ層。macOS・Linux・Windows向けの単一のGoバイナリとして提供

公式チェンジログには、Projects・Model Council・Windows版について対象プランや提供地域の限定は明記されていません。Kimi K3のみ「ProおよびMax加入者向け」と対象が示されています。日本国内での提供条件や日本語での品質について、公式には確認できていません。本記事の執筆時点(2026年8月6日)で確認できるのはここまでです。

Analysis

セルフプラスの見解 — 変わるのは「プロンプトの巧拙」ではなく「前提の置き場所」

ここからは公式発表を踏まえたセルフプラスの分析で、事実の要約とは分けて記載します。今回の更新を「共有機能が付いた」とだけ読むと、実務では何も変わりません。EC事業者や社内のWeb担当者に効くのは、AI活用の成果を左右する要素が、個人のプロンプトの上手さから、チームで共有する前提資料の整備へ移った点だと考えています。

1. これまでAI活用が属人化していた本当の理由

社内でAIを使い始めた企業で、成果が特定の担当者にしか出ないことがよくあります。原因はプロンプトの技術差だと説明されがちですが、実際にはそれだけではありません。その担当者が毎回チャットに貼り付けている前提情報が、他の人の手元に無いことのほうが大きく効きます。

具体例で見ます。商品説明文をAIに書かせている現場で、慣れた担当者は毎回次のような前提を渡しています。ブランドのトーン、使ってはいけない表現、競合との差別化点、過去に反応が良かった文の型、薬機法・景品表示法の観点で過去に指摘を受けた箇所。これらは担当者の頭とチャット履歴の中にあり、他の人が同じ品質を出そうとしても再現できません。

観点これまで(個人のチャット)共有ワークスペースを使う場合
前提情報の置き場所担当者のチャット履歴と記憶。他の人からは見えないプロジェクト内のファイル。全員が同じ資料から始める
品質のばらつき担当者が変わると出力が変わる前提が同じになるため、ばらつきの原因を切り分けやすい
改善の蓄積「この書き方は駄目だった」が個人の中に残るファイルに追記すれば、次回以降の全員に効く
担当者が抜けたときノウハウごと失われる資料と履歴が残る

今回の発表で注目すべきなのは、この置き場所が製品側の機能として用意され、しかも人とエージェントが同じファイルを編集する形になっている点です。人が資料を直せばエージェントの前提も変わります。

2. 共有する前に決めるべきなのは「共有しないもの」

公式には、共同編集者を招待しても個人の記憶とコネクタのアカウントは各利用者にスコープされたままだと記載されています。これは裏を返せば、何をプロジェクトに置くかは利用者側の判断に委ねられているということです。

EC事業者の場合、AIに渡したくなる資料の中に、渡してよいものと渡すべきでないものが混在します。実務では次のような線引きが必要になります。

資料の例共有ワークスペースに置く判断
ブランドガイドライン、商品仕様、FAQの原稿、過去の広告文置いてよい。むしろ置かないと効果が出ない
顧客の氏名・住所・連絡先を含む注文データ、問い合わせの原文置かない。分析が必要なら個人情報を除いた集計値にしてから置く
取引先との契約書、仕入原価、未公開の販促計画社内規程と取引先との取り決めを確認してから判断する
APIキー・管理画面のログイン情報置かない。コネクタの機能で接続し、値そのものは渡さない

この線引きは製品が変わっても使えます。外部サービスへ渡すデータの扱いは、生成AI業務効率化で社内ルールを整えるときの最初の論点にしている項目です。

3. 記憶が続くことは、良い前提だけでなく誤った前提も引き継ぐ

Brainのように文脈を引き継ぐ仕組みは、毎回説明し直す手間を減らします。同時に、一度入り込んだ誤りが後の作業すべてに影響する構造でもあります。たとえば「この商品は医薬部外品」という誤った前提が資料に残っていると、以降に生成される文章はその前提の上に積み上がります。人が気づく頃には、複数の成果物に同じ誤りが入っています。

対策は難しくありません。プロジェクトに置く前提資料に最終確認日と確認者を書いておき、月に一度見直す運用にします。資料が10枚を超えたあたりから、この一手間の有無で差が出ます。

4. Model Councilは「合議で正解を出す機能」ではない

複数モデルに同じ問いを投げる機能は、多数決で答えを決める仕組みだと受け取られやすいところです。公式の説明は、各モデルを独立に実行し、一致点・相違点・各モデル固有の指摘を統合するというものです。多数決や正解判定については記載されていません。

実務での使いどころは、答えを確定させたい場面ではなく、判断が割れていることを事前に知りたい場面です。たとえば「この訴求は景品表示法の観点で問題ないか」といった問いで複数モデルの見解が割れたなら、それは社内で人が確認すべき論点だという合図になります。全モデルが同じ答えを出した場合も、正しさの証明にはなりません。学習データが重なっていれば、同じ誤りを共有している可能性があるためです。

共有ワークスペースを入れても、整理されていない仕事は整理されません

この種の機能で成果が出るのは、前提がある程度固まっている仕事です。商品説明文の作成、FAQの整備、定型の調査などが該当します。一方で、毎回判断基準が変わる仕事、関係者の合意形成が本体になっている仕事は、共有ワークスペースを用意しても状況は変わりません。むしろ中途半端な資料が置かれ、それを前提にAIが作業することで、誤りが増えることがあります。導入の順序としては、まず社内で手順が言語化できている業務を1つ選び、そこだけで運用してから広げることをおすすめします。

Action

明日から何をすべきか

Perplexityへ乗り換える必要はありません。3つとも、ChatGPTやClaudeなど他のサービスで共有機能を使う場合にもそのまま当てはまります。今日から着手できる順に並べています。

  1. いちばんAIを使っている人のチャット履歴から「前提」を抜き出す

    社内でAIを最もよく使っている担当者に、直近10件のやり取りを開いてもらい、毎回書いている前提情報を1つのファイルに書き出します。ブランドのトーン、禁止表現、過去の失敗例が出てくるはずです。これが共有ワークスペースに置く最初の資料になります。作業は1〜2時間で終わります。

  2. 置かないものを先に決め、1枚のルールにする

    顧客の個人情報、契約書、原価、認証情報など、AIサービスに渡さないものを列挙します。禁止事項だけを書いた1枚があれば、判断のたびに迷わずに済みます。機能を導入してから決めると、すでに置かれてしまった後になります。

  3. 前提資料に最終確認日と確認者を書き、月次で見直す

    置いた資料の先頭に「最終確認日/確認者」の2行を入れます。仕様変更や法改正のあと、どの資料を直せばよいかが一覧できます。記憶を持つ仕組みを使う場合、この運用の有無がそのまま成果物の正確さに出ます。

同じくファイルを直接扱うエージェントの動きはClaude Coworkがウェブとモバイルへ拡大した件に、AIの費用対効果を工程の設計で考える話はOpenAIが示した「モデルより仕組み」の記事にまとめています。社内へAIエージェントを組み込む進め方はAIエージェント一括支援で扱っています。同じPerplexity Computerが決済や本番データへ接続する動きはComputer for Buildersと権限の線引きの記事にまとめています。

FAQ

この発表に関するよくあるご質問

これまでのSpacesを使っていた場合、移行作業は必要ですか。

公式チェンジログには、ProjectsはSpacesの進化版であり、既存のSpaceはすべて自動的に移行されると記載されています。利用者側の移行作業について、それ以上の手順は公式に案内されていません。日本での提供条件は公式に確認できていません。

プロジェクトを共有すると、自分の個人データも相手に見えますか。

公式チェンジログには、共同編集者を招待しても個人の記憶とコネクタのアカウントは各利用者に閉じたままだと記載されています。共有されるのはファイル、成果物、履歴です。実際の見え方は必ず自社の環境で確認してください。

Model Councilを使えば、AIの回答が正しいと判断できますか。

公式チェンジログの説明は、2〜8個のモデルを独立に実行し、一致点と相違点、各モデル固有の指摘を統合するというものです。多数決で正解を決める仕組みだとは記載されていません。相違点を人が確認する材料として使ってください。

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Supervisor

この記事の監修者

株式会社セルフプラス 代表取締役 黒岩俊児

黒岩 俊児

株式会社セルフプラス 代表取締役 / Shopify Plusパートナー・ecforceオフィシャル認定パートナー

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AI活用を、担当者個人の力技から外す。

どの業務から共有の仕組みに載せるかは、扱う商材と体制で変わります。無料相談で、現在の運用と社内ルールの整理から着手できます。

  • オンライン相談可能
  • 相談内容がまとまっていなくても問題ありません
  • 無理な営業は行いません