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Storefront MCPのカートツール廃止|8月31日期限

Shopifyが2026年6月24日、Storefront MCPのカートツール(get_cart・update_cart)を非推奨にすると開発者向けチェンジログで発表しました。移行先はUCPのカートMCPで、非推奨ツールの維持は2026年8月31日までとされています。AIエージェント経由の購入導線を自前で実装している事業者とアプリベンダーに、期限つきで関係する変更です。

Official

公式発表の要点

Shopifyは2026年6月24日、開発者向けチェンジログ(shopify.dev)で「Storefront MCP cart tools are being deprecated in favour of UCP Cart MCP」を公開しました。対象は https://{shop}.myshopify.com/api/mcp で提供されている get_cartupdate_cart の2つです。

移行先は https://{shop-domain}/api/ucp/mcp です。ここでは create_cart / get_cart / update_cart / cancel_cart の4つの操作が提供され、UCPのカート機能(dev.ucp.shopping.cart、version 2026-04-08)に準拠すると記載されています。発表の要点は次の3点です(出典: Shopify.dev Changelog)。

  1. 非推奨になる範囲

    Storefront MCPサーバー(/api/mcp)のカート関連ツール、すなわち get_cartupdate_cart が非推奨になります。非推奨の対象として挙げられているのはこの2つで、それ以外のツールの扱いについて、このチェンジログには記載がありません。

  2. 移行先は UCP Cart MCP

    新しいエンドポイントは /api/ucp/mcp です。カートの作成(create_cart)と取り消し(cancel_cart)が加わり、操作は4つになります。UCPのカート機能の仕様(dev.ucp.shopping.cart、version 2026-04-08)に準拠すると明記されています。

  3. 期限は2026年8月31日

    非推奨になったツールを維持するのは2026年8月31日までと記載されています。あわせてリクエストの作り方も変わります。新しい update_cart はPUTセマンティクスで、1回のリクエストがカートの状態全体を置き換えるため、更新のたびに line_items 配列の全体を送る必要があります。また全リクエストに ucp-agent.profile を含む meta オブジェクトが必要で、cancel_cart では meta["idempotency-key"](UUID)も必要とされています。

提供状況について。公式チェンジログには、対象プランや対象地域についての記載はありません。この発表が関係するのは、AIエージェントからカートを操作するためにShopifyのMCPを直接使っている実装だけです。通常のオンラインストア、テーマ、既存のチェックアウト、管理画面の操作には影響しない発表です。ShopifyとShopify Plusで扱いが分かれるかどうかも、公式には確認できていません。

Our View 1

影響を受けるのは誰か

最初にはっきりさせておきたいのは、この発表で慌てる必要がある事業者は限られているということです。関係するのは、エージェンティックコマースの購入導線を自前で実装している事業者と、その機能を提供しているアプリベンダーです。それ以外のストアは、今回の期限に対して何もする必要がありません。

Storefront MCPは、AIエージェントがShopifyストアの商品を検索し、カートを組み立て、購入まで進めるための接続口です。ここを直接叩いているのは、たとえば自社でAIチャット接客を作り込んでカートに商品を入れさせている、外部のAIアシスタントから自社ストアのカートを操作させている、あるいはそうした機能をアプリとして他社に提供している、といったケースです。日本のEC事業者でここまで実装しているのは、現時点では多数派ではありません。

逆に、エージェンティックコマースにまだ着手していないなら、今回の期限に対する作業はゼロです。「AI関連の廃止予告」という見出しだけで自社の改修が必要だと判断しないでください。判断の分かれ目は「自社またはアプリのコードがShopifyのMCPエンドポイントにリクエストを送っているか」の一点で、これは開発担当か委託先に聞けば即答できる質問です。

一方で、該当する場合の時間的な余裕は多くありません。発表は2026年6月24日、期限は2026年8月31日です。本記事の公開時点(2026年7月29日)で、残りは1か月余りになります。夏季休業を挟む体制であれば、実質的にはさらに短くなります。

Our View 2

エンドポイントの差し替えでは終わらない

該当する場合に注意したいのは、これが単なるURLの付け替えではないことです。リクエストの設計思想そのものが変わっているため、既存コードの向き先を変えるだけでは動きません。以下はセルフプラスによる分析で、公式発表に書かれている内容そのものではありません。

1. 部分更新から全量置換へ。新しい update_cart がPUTセマンティクスであるという点が、改修規模を決める最大の要因です。従来の感覚で「この商品の数量を1つ増やす」という差分を送る実装をしていた場合、それが成立しなくなります。毎回、カートの現在の状態を把握したうえで line_items 配列を丸ごと組み立てて送る形になります。つまりカートの完全な状態を誰が持つのかという設計判断が、呼び出す側に移るということです。取得と更新の間に別の経路でカートが変わった場合にどう扱うか、送信に失敗したときに何を再送するか、といった検討が新たに必要になります。

2. 操作が2つから4つに増える。create_cartcancel_cart が加わることで、カートには作成から取り消しまでのライフサイクルが明示されます。既存実装が「とりあえずカートを取得して更新する」という2操作だけで完結していたなら、どの時点でカートを作り、どの時点で捨てるのかを新たに決める必要があります。cancel_cart には meta["idempotency-key"](UUID)が必要とされているので、再送時に同じキーを使う仕組みも用意することになります。

3. 全リクエストに meta が必要。ucp-agent.profile を含む meta オブジェクトを毎回付ける必要があるため、リクエストを組み立てる共通処理を1か所にまとめていないと、付け忘れが散在します。改修に入る前に、MCPへのリクエストを送っている箇所を1か所に集約しておくと、このあとの仕様変更にも耐えやすくなります。

「期限があるから今から始める」は順序が逆です

今回の期限は、すでにMCP経由の購入導線を持っている事業者のためのものです。まだ持っていない事業者にとって、この発表は着手を急ぐ理由にはなりません。エージェント経由の購入をどう扱うかは、商材・単価・在庫の持ち方・カスタマーサポートの体制から決めるべき話で、廃止予告に押されて決める話ではないと考えています。なお、仕様がまだ動いている領域であることは、今回の非推奨予告そのものが示しています。作り込むほど、次の変更に追随するコストも積み上がる点は織り込んでおいてください。

Our View 3

明日から何をすべきか

まず1で切り分けます。使っていなければ、そこで終わりです。使っている場合だけ2以降に進みます。

  1. 使っているかどうかを確認する

    自社開発のコードがあるなら、リポジトリを api/mcpget_cartupdate_cart の3語で検索します。外部に開発を委託しているなら、「ShopifyのStorefront MCPのカートツールを使っているか、使っているなら2026年8月31日までにUCP Cart MCPへ移行する計画があるか」をそのまま質問します。AIチャットや外部エージェント連携のアプリを入れている場合は、同じ質問を提供元に投げます。いずれも該当しなければ、この発表への対応は不要です。

  2. 移行先の仕様を読み合わせる

    該当した場合は、/api/ucp/mcp の4つの操作と、UCPのカート機能の仕様(dev.ucp.shopping.cart、version 2026-04-08)を開発担当と一緒に確認します。この段階で確認したいのは、既存実装のどの処理がPUTセマンティクスと噛み合わないか、という一点です。

  3. カートの状態を誰が持つか決める

    更新のたびに line_items 全体を送る前提に切り替えます。呼び出し側でカートの状態を保持するのか、毎回 get_cart で取り直してから組み立てるのかを決め、更新が競合したときの扱いもあわせて決めます。ここが決まらないまま実装に入ると、数量の取りこぼしや二重追加が起きやすくなります。

  4. meta の付与を共通処理にまとめる

    ucp-agent.profile を含む meta を全リクエストに付ける処理と、cancel_cart 用の meta["idempotency-key"](UUID)を発行する処理を、リクエスト組み立ての共通部分に入れます。呼び出し箇所ごとに書くと、付け忘れが残りやすくなります。

  5. 8月中に切り替えを終える

    公式に示された維持期限は2026年8月31日です。期限後の挙動については公式に記載がないため、動き続ける前提で計画を立てないでください。切り替え後は、カートの作成・追加・数量変更・削除・取り消しの各操作を通しで確認し、購入完了まで到達することを実際の注文で確かめます。あわせて、エージェント経由の注文が想定どおり計測できているかも見ておきます。

エージェント経由の購買にどう備えるかを、実装の前に整理したい場合はShopifyサイトAIグロース支援で扱っています。自社に対応が必要かどうかの切り分けだけでも、無料相談で持ち込んでいただいて構いません。コレクション側の仕様変更はShopifyコレクションのマルチソース・バリアント対応で整理しています。

FAQ

この発表に関するよくあるご質問

自社のストアも対応が必要ですか。

AIエージェント経由の購入導線でStorefront MCPのカートツールを使っている場合だけ対応が必要です。エージェンティックコマースに未着手で、通常のオンラインストアとチェックアウトを運用しているだけのストアには影響しません。まず利用の有無を開発担当や委託先に確認してください。

期限までに移行しないとどうなりますか。

公式チェンジログには、非推奨ツールを2026年8月31日まで維持すると記載されています。それ以降の挙動について明記はないため、ここで断定はできません。期限後も動き続ける前提で計画を立てず、8月中に切り替えを終える段取りにしておくのが安全です。

エンドポイントを差し替えるだけで済みますか。

済みません。新しいupdate_cartはPUTセマンティクスで、更新のたびにline_items配列の全体を送る必要があります。加えて各リクエストにucp-agent.profileを含むmetaオブジェクトが必要です。部分更新を前提にした実装は、作り直しに近い改修になります。

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Supervisor

この記事の監修者

株式会社セルフプラス 代表取締役 黒岩俊児

黒岩 俊児

株式会社セルフプラス 代表取締役 / Shopify Plusパートナー・ecforceオフィシャル認定パートナー

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対応が必要かどうかから、切り分けます。

AIエージェント経由の購入導線を持っているか、持つべきかは、商材と体制で判断が変わります。判断がつかないときは、無料相談でそのまま壁打ちしてください。

  • オンライン相談可能
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  • 無理な営業は行いません