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Shopifyペイメントに残高アクティビティレポート

Shopifyが2026年8月22日、Shopifyペイメントの残高の動きを期間単位でまとめる「アクティビティレポート」を公式チェンジログで公開しました。開始残高から手数料・入金を経て終了残高までを1枚にまとめ、PDFで書き出せます。関係するのは、決済にShopifyペイメントを使っているストアだけです。

Official

公式発表の要点

Shopifyは2026年8月22日、マーチャント向けチェンジログ(changelog.shopify.com)で「Review Shopify Payments balance activity with the new activity report」を公開しました。分類はFeature(Payments)で、月次の締め、残高が動いた理由の確認、入金が銀行口座に届く前の内容確認に使うものと説明されています。

前提を確かめておきます(Shopify自体の全体像はShopifyの基礎解説にまとめています)。Shopifyペイメント(Shopify Payments)で受けた売上は、決済された時点でそのまま銀行口座に振り込まれるわけではなく、いったんShopifyペイメントの残高に積まれます。そこから手数料が引かれ、返金やチャージバックで減り、入金(payout)として口座へ出ていきます。ストアの売上金額と、銀行口座に着金した金額が一致しないのはこのためです。これまで管理画面で追えたのは主に入金1件ずつの明細で、「その月として残高がどう動いたか」は自分で足し合わせる必要がありました。今回の発表は、その足し合わせを管理画面側で行うものです。要点は次の3点です(出典: Shopify ChangelogShopify ヘルプセンター)。

  1. 期間の残高の動きを1枚にまとめる

    指定した期間について、開始残高、アクティビティによる残高の変化、総アクティビティ、手数料、入金、差引の金額、終了残高がサマリーとして並びます。「先月の残高がなぜこの金額になったのか」を、1枚の中で上から下まで追える形です。

  2. 区分ごとに内訳を展開できる

    サマリーの下に、残高を動かした項目が区分ごとにまとまります。ヘルプに挙がっているのは、チャージ、返金、チャージバック(disputes)、手数料、調整、リザーブ・ホールド、内部振替、入金などの区分です。各区分は個々の明細まで展開できます。「残高が思ったより少ない」の理由を、区分から明細へたどれる作りになっています。

  3. 置き場所・選べる期間・書き出し・データ遅延

    管理画面の Finance > Documents > Shopify Payments activity report、またはPayoutsページから開きます。期間は先月・過去3か月・過去6か月・過去12か月から選べるほか、任意指定ができます。任意指定については、2025年1月1日以降の範囲で選べるとヘルプに記載されています。書き出し形式として挙げられているのはPDFです。あわせて、このレポートには3日間のデータ遅延があり、直近の動きはすぐには反映されないことも明記されています。

提供条件について。ヘルプに前提として書かれているのは、決済プロバイダとしてShopifyペイメントを使っていることと、店舗オーナーまたは入金の閲覧権限を持つスタッフであることの2点です。対象プランや対象地域を限定する記載は、チェンジログ・ヘルプのいずれにも確認できませんでした。ShopifyとShopify Plusで扱いが分かれるという記載もありません。日本での提供状況について明示の記載はないため、本記事では断定しません。自社の管理画面にこのメニューがあるかどうかでご確認ください。

Our View 1

変わるのは月次の締め作業

変わるのは、経理まわりの月次の締め作業です。これまで入金1件ずつを積み上げて期間の姿を作っていた作業が、期間を指定して1枚のレポートを出す作業に置き換わります。

この作業が毎月発生する理由は、冒頭で書いたとおり、売上金額と着金額がずれるためです。ずれの主な要因は、決済手数料、返金、チャージバック、リザーブ(入金の一部が一時的に保留される扱い)、各種の調整などです。ヘルプは残高を動かす区分としてこれ以外にも複数を挙げており、どの区分が出るかは対象期間や入金通貨、ストアの状況によって変わります。締めのときに必要なのは、この差が「説明できる差」であることの確認です。従来はPayoutsページから入金の明細をCSVで書き出し、期間分を自分で集計していました。今回のレポートは、その合算結果を最初から期間単位で出します。なお、このレポートの区分とは別に、注文が確定したあとで金額そのものが動く例としては、配送先変更にともなう税の再計算を別記事で整理しています。

もう1つ実務で効くのが、会計事務所への引き渡しです。公式ヘルプは、このレポートの用途として月次の照合とあわせて会計担当への引き渡し(accountant handoff)を挙げています。PDFで書き出せるため、管理画面の権限を持たない相手にもそのまま渡せます。締めの手順そのものを組み直したい場合はShopify運用代行でも扱っています。毎月「入金の一覧をエクスポートして送る」という往復をしている場合、そこが1枚のPDFに置き換わります。

権限の設計にも触れておきます。ヘルプが挙げている閲覧条件は、店舗オーナーであること、または入金の閲覧権限を持つスタッフであることです。つまり、経理担当に管理画面の広い権限を渡さなくても、この権限があればレポートを取得できる形になっています。オーナーが毎月PDFを作って渡す運用にしているのであれば、担当者側で完結させられないかを一度見直す価値があります。

Our View 2

日本のストアでは「入っていないもの」が効く

このレポートに入るのは、Shopifyペイメントの残高の動きだけです。公式ヘルプは、Shopifyからの請求手数料、第三者の決済代行、第三者の決済手段は含まれないと明記しています。ここが日本のストアでは効きます。

日本のストアは、Shopifyペイメントだけで決済を完結させていないことが少なくありません。後払い、コンビニ決済、キャリア決済、各種ウォレットなどを外部のサービスで入れている場合、その売上も手数料もこのレポートには現れません。したがって、このレポート1枚で「その月の決済まわりがすべて分かる」という状態にはなりません。これは公式が明記している範囲から素直に導かれる帰結で、レポートの欠陥ではなく守備範囲の問題です。なお、条件になっているのは決済プロバイダであって、カートの種類ではありません。決済プロバイダとしてShopifyペイメントを使っていなければ、そもそもこのレポートは出ません。ecforceの基礎解説で扱っているような別のカートを使っている場合も同じです。以下は、実務で先に押さえておきたい範囲の線引きです。

項目このレポートでの扱い
Shopifyペイメントの売上・返金・手数料・入金含まれる(区分ごとに明細まで展開可)
Shopifyからの請求手数料(Shopify billing fees)含まれないとヘルプに明記
第三者の決済代行・第三者の決済手段含まれないとヘルプに明記。例としてAuthorize.net、Afterpayが挙げられている
入金通貨が複数ある場合通貨ごとに別のレポートになる
任意指定できる期間の下限2025年1月1日。これより前は任意指定の範囲に含められない
直近の動き3日間のデータ遅延があり、すぐには反映されないとヘルプに明記
書き出し形式PDF。CSVでの書き出しはPayoutsページ側の機能として説明されている

表のうち、任意指定できる期間の下限と書き出し形式の2つは、用途によっては先に効いてきます。前期・前々期まで遡って残高の動きを確認したい場合、2025年1月1日より前は任意指定の範囲に含められません。また、書き出しがPDFであるため、そのまま会計ソフトへ取り込む仕訳データとしては使いにくい形です。数字をデータとして受け渡す必要があるなら、従来どおりPayoutsページのCSVを使うことになります。読むための帳票と、取り込むためのデータは、引き続き別々だと考えておくのが実務に近いはずです。

これは会計帳簿の代わりにはなりません

これはセルフプラスの意見ではなく、公式ヘルプが明記していることです。ヘルプには「The report isn't a statement of revenue for accounting purposes.(このレポートは会計目的で売上を示す書類ではない)」と書かれています。月次の締めが1枚のPDFで済むように見えますが、含まれるのはShopifyペイメントの残高の動きだけです。他の決済手段を併用しているストアでは、このレポートは「決済の一部の内訳」であり、売上の全体像ではありません。締めの手順を組み替えるときは、このレポートで代替できる作業と、別に集計し続ける必要がある作業を先に分けてください。ここを分けずに置き換えると、抜けたぶんに月末になって気づくことになります。

Our View 3

明日から何をすべきか

まず1で切り分けます。Shopifyペイメントを使っていなければ、そこで終わりです。使っている場合だけ2以降に進みます。

  1. 自社が対象かどうかを確かめる

    決済プロバイダとしてShopifyペイメントを使っているかを確認します。使っていないストアには、この発表で変わることはありません。ここで終わりです。使っている場合は、管理画面の Finance > Documents にこのレポートのメニューが出ているかを見ます。出ていない場合は、まず自分のアカウントに入金の閲覧権限があるかを確認してください。権限があってもメニューが出ないのであれば、自社の環境ではまだ利用できない可能性があります。

  2. 先月分を1回出してみる

    期間に先月を指定して、実際に1枚出します。判断材料になるのは、サマリーの並び(開始残高から終了残高まで)が、いま自社が手作業で作っている集計と同じ粒度かどうかです。同じであれば、その手作業は置き換えられます。足りなければ、何が足りないのかをこの段階で書き出しておきます。

  3. 銀行口座の入金と突き合わせる前に、合わない要因を押さえる

    ここは順序が逆になりがちです。ヘルプは「レポートの合計と銀行入金が一致しないことがある」として要因を列挙しています。突き合わせの前に、ここを押さえてください。まず、レポートと他の帳票で日付範囲やタイムゾーンが異なること、入金のスケジュールが別であるため同じ期間でも金額が一致しないことがあること、3日間のデータ遅延の3つが挙がっています。加えて、通貨の取り違えと、Shopifyペイメント外の決済(後払いなど)も要因として示されています。最後に、「財務レポートは売上、このレポートは残高の動きを表す」という性質の違いです。差が出たときは、この順で切り分けてから、リザーブ・ホールドや調整の区分を展開してください。1円まで一致させることを目標にしないでください。公式が一致しない要因を明示している以上、目指すのは「差の理由を説明できる状態」です。

  4. 会計事務所・経理担当への渡し方を決める

    PDFを誰が取得して誰に渡すかを決めます。オーナーが毎月作って送っているのであれば、経理担当に入金の閲覧権限を付与して、担当者側で取得する形に変えられないかを検討します。権限を広げすぎないよう、付与する範囲は事前に決めてから設定してください。

  5. 他の決済手段の集計をどこで取るか決めておく

    Shopifyペイメント以外の決済を併用しているなら、その分の売上と手数料をどこから取るかを、このレポートの導入と同時に決めます。ここを決めずにレポートだけ運用に入れると、締めの一部が宙に浮きます。併用している決済ごとに、取得元と担当者を1行ずつ書き出しておけば十分です。

どこまでを管理画面で完結させ、どこを別に集計するかの線引きに迷う場合は、判断だけでも無料相談に持ち込んでいただいて構いません。管理画面の数え方や表記が変わる類の変更としては、Shopifyの販売不可がコミット済みへの変更も同じ系統です。

FAQ

この発表に関するよくあるご質問

日本のストアでも使えますか。

公式のチェンジログとヘルプには、対象地域や対象プランを限定する記載はありません。前提として書かれているのは、決済プロバイダとしてShopifyペイメントを使っていることです。日本での提供可否は明示されていないため、管理画面のFinanceにメニューがあるかでご確認ください。

これまでの入金の画面と何が違いますか。

Payoutsページは入金1件ずつの明細を見る場所で、CSVでの書き出しもここにあります。アクティビティレポートは期間を指定して残高の動きをまとめて見るもので、開始残高から終了残高までを1枚にします。用途が異なるため、置き換わるものではありません。

このレポートだけで月次の売上を確定できますか。

公式ヘルプは、Shopifyからの請求手数料、第三者の決済代行、第三者の決済手段はこのレポートに含まれないと記載しています。Shopifyペイメント以外の決済を併用しているストアでは、その分を別に集計する必要があります。

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Supervisor

この記事の監修者

株式会社セルフプラス 代表取締役 黒岩俊児

黒岩 俊児

株式会社セルフプラス 代表取締役 / Shopify Plusパートナー・ecforce業務支援パートナー

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入金と売上の差を、毎月説明できる状態に。

決済の帳票が複数に分かれていると、締めのたびに人手が要ります。どこまでを管理画面で完結させ、どこを別に集計するのかは、使っている決済の組み合わせによって変わります。整理の仕方から、無料相談でそのまま壁打ちしてください。

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